「リピート率」とは、お客様が再びお店に来店してくれる割合のことをいいます。もっとも簡単な考え方は、あなたがネイルサロンをオープンしたとします。ネイルサロンをオープンした月に100人のお客様が来店したとします。もちろん、みなさん新規のお客様です。その翌月にそのうちの50人のお客様が再びネイルサロンに来店したとすると、リピート率は50%となります。これがリピート率の考え方です。
ネイルサロンにとってのリピート率とは
リピート率を上げるには、単に集客をすればよいというものではありません。「リピーター」とは新規のお客様ではなく、一度ネイルサロンのサービスを受けていただいたお客様を指すからです。つまり、ネイルサロンのサービスを受けていただいたお客様に「どれだけ満足していただけるか」ということがリピート率に影響してきます。
接客サービスの品質がとても重要であるということです。さらに、「リピート」してもらうには「来店後」のアプローチも非常に重要です。具体的には、ネイルサロンであれば、1カ月程度が来店のサイクルといわれます。そのタイミングに合わせて、季節に合わせたデザインやカラーを提案し、また行ってみようと思っていただくことが重要です。ネイルサロンにおいては、「接客」と「来店後のアプローチ」がリピート率を上げるために大切なポイントになります。
画像イメージ:ネイルサロンの接客シーン
ネイルサロンにとってリピート率はとても重要
ネイルサロンの経営においてリピート率は非常に重要です。その理由は「新規顧客の獲得」に掛かるコストと「既存顧客のリピート」に掛かるコストとでは、「既存顧客のリピート」の方が小さいコストで実現できるからです。
マーケティングの世界においては「1:5の法則」という法則があります。新規のお客様を獲得するには、既存のお客様のリピートの5倍コストがかかるというものです。「既存顧客獲得コスト1」に対し「「新規顧客獲得コスト5」ということです。
なぜなら「新規顧客の獲得」では、不特定多数のターゲットに対する大規模な広告を打たなければいけないのに対し、「既存顧客のリピート」では「既存顧客」をターゲットに広告を打てばよいためです。さらに「既存顧客」であれば、前回来店した際に、そのお客様の好きなカラーやデザイン、次回来店のタイミングなどの情報を手に入れていることでしょう。
そういった情報を活用することで、誰でも目にするような広告ではなく、そのお客様に合わせた広告にすれば、よりリピートにつながる可能性は高いでしょう。また、リピート率が高く、リピートが見込めるお客様ができれば、ネイルサロンの安定した経営につながっていきます。
リピート率が上がることによるネイルサロンへの効果
リピート率が上がることはネイルサロンにとって良い効果があります。前述のとおり、より小さいコストでネイルサロンへの来店が見込めるということと、その結果、経営の安定につながるためです。
また、数値上の効果だけではなくスタッフとお客様にも良い効果があります。初めて来店したお客様とリピートするお客様とでは、サービスの違いが生まれてきます。
①よりお客様にあわせたサービスを提供できる
ネイルサロンへのリピートが多いほど、そのお客様の情報は蓄積されていきます。その結果、よりお客様に合わせたサービスを提供できるようになり、サービス品質は向上してきます。
②サービスの合格点がわかる
リピートしていただけているということはそのお客様へのサービスは満足していただけているということです。
一方、リピートいただけなかった場合のサービスと比較することで、客観的な評価を把握することができます。リピートのお客様には自信をもって対応しましょう
集客できずリピート率が上がらないのはどうして
ネイルサロンの経営にとって、リピート率を上げることが非常に重要であることはわかりましたが、思い通りにリピート率をあげることは簡単ではありません。
効果的にリピート率を上げる際に注意したい点が3つあります。
- ひとつめは、ターゲットの設定がと実際のサービスがあってない
- ふたつめは、低価格をうりにしている
- みっつめは、来店後のアプローチが足りていない、ということです。
「ターゲットの設定がと実際のサービスがあってない」とは、例えば40代から50代の女性をターゲットとしているにもかかわらず、お店の雰囲気やスタッフの対応が若者向けであるといった場合です。広告などを見て、40代から50代の女性が来店してくれたとしても、来店時のサービスをうけた結果、再度来店してくれることはないでしょう
次に,「低価格をうりにしている」場合ですが、来店するお客様は「価格」を比較して来店しているだけなので、他にもっと低価格なネイルサロンがあれば、そちらに行ってしまいます。初回来店につき、低価格でサービス提供することは間違った戦略ではありませんが、そういったリスクを持っていることは把握しておく必要があります。
「来店後のアプローチが足りない」とは、前述したとおり、リピート率を上げるために必要な行動、つまりネイルサロンであれば、1カ月程度が来店のサイクルといわれます。そのタイミングに合わせて、季節に合わせたデザインやカラーを提案し、また行ってみようと思っていただけるような活動ができていないということです。
この対策をすればリピート率が上がるということではなく、少なくともこ3つは出来ていないとリピート率を上げることは見込めないかもしれません。
お客様の特徴を把握してリピート率を上げる
では、ネイルサロンの経営においてどのようにリピート率を上げていくかということです。どのような業種でも、「万人にうけるサービス」を提供することはとても難しいことです。つまり、そのようなサービスは目指さないということです。ネイルサロンも例外ではありません。
まずは「どのようなお客様に」サービスを提供するネイルサロンにしたいかを考えてみましょう。
当然ですが、「こんなサービスを提供したい」という一方通行な考えでは、受け止めてくれるお客様はいません。
地域、性別、年齢、ライフスタイル、職業などの観点から、どの層にサービスを提供したいのか、もしくはどの層からニーズがあるのかを把握することが重要です。
これからネイルサロンをオープンする場合は、自分の技術でそのようなサービスが可能なのかという考え方でもよいです。
まずは、ネイルサロンの立ち位置を考えてみましょう
集客したいお客様層を決めてリピート率を上げる
集客において、不特定多数に広告をうつなどのアプロ―チを行うことは非常に効率が悪いため、ターゲットを絞る必要があります。
集客したい対象を絞るということは、集客の母数を狭めることになるので、逆効果と思うかもしれませんが、ターゲットを絞り込むほど集客に効果的であり、リピート率向上の効果を期待できます。
数多くのネイルサロンから見つけてもらうためには、どこのネイルサロンでもやっていることをアピールしては全く意味がありません。自分のネイルサロンを選んでもらえるように特徴をアピールする必要があります。その時、どのようなお客様に来ていただきたいかというターゲットをしっかりと決めたうえで、マーケティング活動を行う必要があります。
ターゲットとするお客様層をより明確にするペルソナという手法があります。ペルソナとは、年齢や行動や性格を実際の人間かのように具体的に設定するものです。例えば、集客したい顧客層を
- 50歳の独身女性
- 住まいは港区の高層マンション
- 仕事は女性向け高級バッグ販売業を経営
- 年収は800万円
- ネイルサロンの他、エステにも毎月定期的に通う
などを設定します。より具体的なターゲットを設定することにより、より
具体的なサービス内容を検討・提案することが期待されます。
画像イメージ:ネイルサロンに来店する女性のお客様
お店の特徴を把握してリピート率を上げる
ネイルサロンのような美容業界において、ブランディングは非常に集客に大きな影響があります。リピート率に不可欠なブランディングのために、まずお店の棚卸をしてみましょう。店舗の立地・設備・雰囲気、スタッフの技術、年齢、資格、得意不得意などです。お店独自の売りとなる特徴を明確にする作業をします。
お店の強みや特徴がわかるとどのようなお客様を対象とすべきかという点も明確になってきます。
リピート顧客も新規顧客も重要
リピート顧客にうまくアプローチし、リピート率を向上させることは非常に重要ですが、それに注力しすぎると、新規顧客を逃してしまうことになります。リピート顧客も重要ですが、新規顧客も重要なのです。
リピート顧客は経営の安定化、サービスの安定化といった効果があるのに対し、サービスのマンネリにつながる可能性もあります。
新規顧客の獲得を行っておらず、万が一リピート顧客が離れてしまった場合、そこから挽回することは難しいかもしれません。
リピート顧客に頼ってしまう場合、売上は微増もしくは横ばいを維持することになります。すべてのリピート顧客に永遠にリピートしてもらうことは現実的ではないので、リピート顧客のみに注力し、新規顧客を獲得できない場合は売上が減少していくということを意味します。
ネイルサロンにおける、リピート顧客、新規顧客の集客に有効な方法を次で紹介します。
ネイルサロンで使える集客方法
集客のためにおすすめ方法をご紹介します。
①ダイレクトメール
不特定多数ではなく、対象者を絞ったアプローチができるためネイルサロンの集客に有効です。その際は手書きでお客様のニーズに合わせたメッセージを記載し、気持ちのこもったダイレクトメールしましょう
②ホームページ
潜在顧客が気軽に確認できるのがホームページです。どんなサービスを受けられるのか、スタッフや店舗の様子を把握できるような内容が大切です。
短期的には広告を利用するなどの手段もありますが、中長期的にはSEO対策など、コンテンツの作り込みが重要になってきます。
③ブログ・SNS
ブログやSNSを使って、ネイルの施術のイメージを伝えます。
特にインスタグラムは写真を投稿するものなので、ネイルサロンのサービスの紹介に向いています。
また、フェイスブックでもお店のページを作成できる機能があるので、インスタグラムと連携しながらお店の紹介をすることができます。
④YouTube
お店への来店方法やサービス施術中のイメージなどを紹介することで、来店時の負荷案を軽減することが期待されます。
ネイルのきれいな落とし方などの動画を公開することで、店舗やスタッフの雰囲気がつたわり、お店に対して親近感をもってもらえ
ネイルサロンで使えるマーケティング手法
ネイルサロンのリピート率を向上させるために普及しているマーケティング手法をご紹介します。
新たな事業としてネイルサロンを立ち上げ段階で新規顧客も既存顧客に関係なくお客様を集めたい場合も共通です。
①3C分析
3つのC「自社(Company)」「顧客(Customer))「協業(Competitor)」の視点をもち
どのような顧客に、自社ではどのようなサービスが可能で、その協業はどのようなサービスを提供しているのかを整理していきます。
自社内でさらに強化していかなければいけないサービス内容やターゲットとする顧客層を変更するなどの検討が行われます。
②バリューチェーン分析
ネイルサロンとしてのサービスを提供するまでに必要な調達方法を分析します。
例えば、ネイリストの採用、材料・備品の準備、店舗の立地などが挙げられます。
③PEST分析
「政治(Politics)「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(technology)」といった
外部環境から自社への影響を考慮し、改善策を検討していく手法です。
特に外部環境の変動が大きい場合には欠かせない分析手法です。
④SWOT分析
自社の環境を「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機械(Opportunities)」「脅威(Threats)」の視点から整理していき、ネイルサロンをとりまく環境を見える化するものです。
このほかにも自社を分析する方法はいろいろあります。どの手法が望ましいというものではなく、会社の状況、外部環境の状況により結果は変わるものです。どの手段でも実施してマイナスになることは決してありません。いままで実施したことがない場合、まずは実施してみるとよいでしょう。