エステサロン経営者が使える「小規模事業者持続化補助金」

エステサロン経営者が使える「小規模事業者持続化補助金」

 

エステサロンを経営の皆さん、補助金の利用について考えたことありますか?「補助金?自宅開業のワタシになんて関係ないし、ムリ!」なんて、ページを閉じようとされている方も少し立ち止まって読み進めてください。

 

エステサロン経営者が使える小規模事業者持続化補助金とは?

 

ここでは、補助金なんて馴染みのない方にも取り組みやすい、「小規模事業者持続化補助金」(以下、「持続化補助金」)についてご紹介です。

持続化補助金制度は、小規模事業者の皆さんが行う販路開拓や生産性向上の取組に要する経費の一部を商工会議所が支援してくれる制度です。

販路開拓や生産性向上なんて、わかるようでわからない言葉であっても難しくとらえる必要はありません。要は販路開拓とはお客様を増やすこと、生産性向上は例えば1日当たり、1時間あたりの利益を上げる取り組みです。

経営者の皆さんであれば、常に頭を悩ませている問題かと思います。「お金があれば、あんなことやこんなことができるのに・・・。」、そんな時、強い味方になってくれるのが、持続化補助金です。

現在「一般型」と新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者向けの「低感染リスク型ビジネス枠(旧:コロナ特別対応型)」の2種類のメニューが用意されています。

この制度は、商工会、商工会議所のサポートを受けながら経営計画書、補助事業計画書を作成し、審査を経て採択が決定された後、補助金を獲得することできます。

「経営計画書に補助事業計画書を書いた上に審査?もう無理だ。。」と思われた方、大丈夫です!この記事を読めば、なんかやれそうかも?そう思っていただけるはずです。

 

小規模事業者持続化補助金で補助される金額

 

「ちょっと待って、その前に一体いくらもらえるの?」と思われた方、補助金の額、やはり、気になりますよね?持続化補助金で補助される金額は50万円を上限として申請された経費の2/3を補助してくれます。

例えば、補助金額がMAX50万円で補助されるには、75万円の申請経費となります。75万円を超えてしまうと、経費の2/3の範囲内であっても、50万円を超える部分は自己負担となります。

例えば、90万円の経費を申請した場合、2/3は60万円となりますが、上限額50万円を超えるので、補助金額は50万円、自己負担額は40万円(=90万円-50万円)ということになります。

さらに、現在は新型コロナ感染拡大防止対策を行うのに、さらに経費が掛かっていると思います。持続化補助金ではそんな小規模事業者を応援する為に、業種ごとのガイドラインに基づいた感染拡大防止の取組(事業再開枠)を行う場合は、定額補助・上限50万円が上乗せしてもらえます。

さらに、さらに、クラスター対策が特に必要と考えられる施設で事業を行う事業者(以下、「特例事業者」)については、さらに上限に50万円が上乗せされます。

お客様に安心してサロンに通ってもらえるよう癒しの空間を提供したいと、経営者のほとんどの方が苦労されていると思います。しっかり申請方法を理解して補助金を獲得したいですよね。次の章では、実際に補助金でどのようなことが補助されるか確認していきましょう!

 

小規模事業者持続化補助金でできること/できないこと

 

現在、持続化補助金は、従来からの「一般形」とポスト・コロナに向けたビジネスモデルの転換を図る事業者向けの「低感染リスク型ビジネス枠」の種類があります。

「一般型」は、コロナ対策とは関係なく、そもそも本来の経営計画に基づき、販路開拓や生産性向上の取組に必要となる経費の一部が支援されます。

例えば、お店の看板やチラシ、お店のホームページ作成、または設備導入にかかる経費も対象となるように、販路開拓や生産性向上の取組として行われる事業に関連する経費であれば幅広く対象となります。

この事業といっても、どのくらいの期間を想定するものなのでしょうか?持続化補助金で、は事業の完了後、概ね1年以内に売上げにつながることが見込まれる事業活動を対象としています。

何年先、遠い将来先に実を結ぶ投資というよりは、種をまいたら早いうちに実る投資をイメージしてもらえればと思います。逆に日々の支払いであるとか、運転資金といった日々の支払いにあてるために、この持続化補助金を利用することはできません。

あくまで補助金は先行投資を支援するもの、現状を打開したいと経営計画を立て実行に取り組む事業者を応援するためのものだということを念頭に入れておく必要があります。

急にハードルが高く感じられましたか?では、具体的にはどのように使われているのか、見ていきましょう。例えば、ホームページの構築です。

特にエステサロンでいえば、Hot Pepper Beauty(ホットペッパービューティー)や楽天ビューティーだけでなく、自分のお店のオフィシャルホームページを立ち上げてブランディング(ブランド力を高めたい)を図りたいと考えられる経営者さんも少なくないですよね?

そんな時に、信頼できるWebデザイナーさんにサイト構築やGoogle(グーグル)やYahoo!(ヤフー)といった検索エンジンにヒットしやすいようにSEO対策を行ってもらうなどお願いした際の費用に利用されることがとても多いです。

いつか自社サイトを立ち上げたいと考えていた経営者さんには、持続化補助金はうってつけのチャンスではないでしょうか。自社サイト以外にもPOSレジソフトや、会計ソフトや勤怠管理ソフトなどを購入して、煩雑な事務作業を効率化するといったことも、IT利活用として推奨されており、生産性向上として認められます。

こう考えると必要な経費に幅広くこの持続化補助金は使えるなと感じてもらえるのではないでしょうか?

下記に対象となる事業について、持続化補助金のオフィシャルWebサイトを引用しますので、確認してみてください。
https://r1.jizokukahojokin.info/index.php/持続化補助金とは/

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《補助対象となり得る取組事例》

 

(1)地道な販路開拓等(生産性向上)の取組について

  • 新商品を陳列するための棚の購入 ・・・ 【①機械装置等費】
  • 新たな販促用チラシの作成、送付 ・・・ 【②広報費】
  • 新たな販促用PR(マスコミ媒体での広告、ウェブサイトでの広告) ・・・ 【②広報費】
  • 新たな販促品の調達、配布 ・・・ 【②広報費】
  • ネット販売システムの構築 ・・・ 【②広報費】
  • 国内外の展示会、見本市への出展、商談会への参加 ・・・ 【③展示会出展費】
  • 新商品の開発 ・・・ 【⑤開発費】
  • 新商品の開発にあたって必要な図書の購入 ・・・ 【⑥資料購入費】
  • 新たな販促用チラシのポスティング ・・・ 【⑦雑役務費】等
  • 国内外での商品PRイベント会場借上 ・・・ 【⑧借料】
  • ブランディングの専門家から新商品開発に向けた指導、助言 ・・・ 【⑨専門家謝金】
  • 新商品開発に伴う成分分析の依頼 ・・・ 【⑫委託費】
  • 店舗改装(小売店の陳列レイアウト改良、飲食店の店舗改修を含む。) ・・・ 【⑬外注費】
    ※「不動産の購入・取得」に該当するものは不可。

 

(2)業務効率化(生産性向上)の取組について

【「サービス提供等プロセスの改善」の取組事例イメージ】

  • 業務改善の専門家からの指導、助言による長時間労働の削減 ・・・ 【⑨専門家謝金】
  • 従業員の作業導線の確保や整理スペースの導入のための店舗改装・・・ 【⑬外注費】

【「IT利活用」の取組事例イメージ】

  • 新たに倉庫管理システムのソフトウェアを購入し、配送業務を効率化する ・・・ 【①機械装置等費】
  • 新たに労務管理システムのソフトウェアを購入し、人事・給与管理業務を効率化する・・・ 【①機械装置等費】
  • 新たにPOSレジソフトウェアを購入し、売上管理業務を効率化する ・・・ 【①機械装置等費】
  • 新たに経理・会計ソフトウェアを購入し、決算業務を効率化する・・・ 【①機械装置等費】

◆補助対象経費
①機械装置等費、②広報費、③展示会等出展費、④旅費、⑤開発費、⑥資料購入費、
⑦雑役務費、⑧借料、⑨専門家謝金、⑩専門家旅費、
⑪設備処分費(補助対象経費総額の1/2が上限)、⑫委託費、⑬外注費

※次の(1)~(3)の条件をすべて満たすものが、補助対象経費となります。
(1)使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
(2)交付決定日以降に発生し対象期間中に支払が完了した経費
(3)証拠資料等によって支払金額が確認できる経費
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また、「低感染リスク型ビジネス枠」は、ポストコロナ社会に対応したビジネスモデルへの転換に資する取組や感染防止対策費の一部を支援する制度です。

以前は「コロナ特別対応型」という枠で、①サプライチェーンへの毀損(きそん)への対応、②非対面型ビジネスモデルへの転換、③テレワーク環境の整備を対象としていました。「低感染リスク型ビジネス枠」では、小規模事業者等が経営計画を作成して取り組む、ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセス導入等の取組を支援します。

オンライン化の為のツール・システムの導入、ECサイト構築費などの支援を想定しており、具体的な活用事例としては、ポストコロナ社会を見据えた対人接触機会の減少に資するビジネスモデルへの転換のため、飲食店が大部屋を個室にするための間仕切り設置を行い、予約制とするためのシステムを導入するなどといった取組が挙げられています。

 

どのようなエステサロン経営者が小規模事業者持続化補助金を受けられるのか

 

持続化補助金の対象となる事業者は、「一般型」と「低感染リスク型ビジネス枠」共通で、小規模事業者と一定要件を満たす特定非営利活動法人となります。

下記の図をご覧ください。エステサロンはサービス業にあたりますので、常時使用する従業員の数が5人以下である必要があります。

従業員を使用しない個人事業主も対象となりますので、多くのエステサロン経営者の方が該当するのではないでしょうか。

 

 

業種 常時使用する従業員の数
商業・サービス業(宿泊・娯楽業を除く)  5 人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 20 人以下
製造業その他 20 人以下

 

いかがでしょうか?ここまで読まれて、私にとって十分活用できそうな補助金だなと感じていただけたのではないでしょうか?それでは、いよいよ申請方法について見ていきましょう!

 

小規模事業者持続化補助金の申請方法まとめ

 

ここからは順を追って、申請方法の流れを見てみましょう。まずはインターネットで小規模事業者持続化補助金 実施年度メニュー (jizokukahojokin.info)Webサイトにアクセスしましょう。本記事執筆時点では「令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金」が最新となりますので、こちらをクリックして開いてください。

このサイトに申請書様式・記載例・公募要領・Q&Aがすべて揃っていますので、内容をよく確認の上、応募手続きを取っていきます。まずは申請から補助金支払いまでの流れを公募要領第8版(執筆時点)で確認しましょう。

令和元年度補正予算 日本商工会議所 小規模事業者持続化補助金 :: 申請について (jizokukahojokin.info)

公募要領は文字だらけで、いきなり読むのが大変という方は申請に関するQ&A【第2版】の方がわかりやすく書いてありますので、まずは大枠・イメージを申請に関するQ&A【第2版】でつかんでから、詳細・正確な内容を公募要領で確認していきましょう。

本記事執筆時点では、低感染リスク型ビジネス枠についての詳細は公表されていません。本記事ではQ&Aなどを引用しており、コロナ特別対応型の説明がありますが、参考としてご確認ください。低感染リスク型ビジネス枠の詳細については今後公表される最新の公募要領等をご確認ください。

下記に「申請に関するQ&A【第2版】」から申請手順を引用します。なんといっても大変なのが、「経営計画」、「補助事業計画」の作成です。

つまり、様式2「経営計画書兼補助事業計画書」をいかにクリアするかが最大の関門です。様式2については後の章で後述しますので、ご確認ください。

注意が必要なのは様式4「事業支援計画書」です。様式4は地元の商工会または商工会議所に様式2に記載した「経営計画」、「補助事業計画」を提出して、作成してもらう書類で、補助金が採択された際に商工会・商工会議所がどのように実行支援していくかを記載する計画書です。

ご自身が申請する商工会・商工会議所がどこにあるかは申請に関するQ&Aをご確認ください。

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持続化補助金のホームページから申請書類をダウンロード
「経営計画」、「補助事業計画」を記載する(手書きでも可)
一般型の場合:様式2、様式3
コロナ特別対応型の場合:様式2
2.で作成したもの(写し可)を地域の商工会または商工会議所に提出し、「支援機関確認書」の交付を依頼し、後日受け取る。

一般型の場合:事業支援計画書(様式4)
コロナ特別対応型の場合:支援機関確認書(様式3)【任意】
コロナ特別型で概算払いを希望する場合は、自治体に売上減少の証明書の発行を依頼し、受け取る。様式は各自治体で用意されています。

必要書類を提出先へ送付する
一般型
様式1から様式5
電子媒体
決算書又は確定申告書
その他加点審査等を希望するための書類
コロナ特別対応型
様式1から様式4
電子媒体
決算書又は確定申告書
(概算払希望者)様式5
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(引用:申請に関するQ&A【第2版】 P13より)

さて、申請したら、補助金の獲得までどのようなステップとなるのでしょうか?申請後の流れは以下の通りです。審査後、採択されて、事業の実績報告などを経てから、やっと補助金の振込が行われます。

補助金の振込はあくまで後払い方式なので、振込時期がいつ頃かが曖昧なまま一気に投資をしてしまって、資金繰りが行き詰まるといったことないように注意しましょう。

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申請
持続化補助金の事務局で、申請内容を確認

審査
申請受付締切後、審査を行い、通常1.5か月程度で採択者が発表されます。

補助事業の開始
採択の発表後、交付決定通知を送付します(通常1週間程度)。交付決定通知を受け取ったら、補助事業が開始できます。

補助事業の終了

実績の報告
事務局で実績報告の内容、証憑を確認 ※申請に不備があった場合は、電話、郵送等で連絡が入ります。

補助金額確定
経費の支出の適正性の確認ができたら、確定通知書を送付します。確定通知書が届いたら、補助金精算払い請求書を提出してください。

補助金の支払い
事務局が補助金精算払請求書を受理後、振り込み手続きが行われ、補助金が振り込まれます。
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(引用:申請に関するQ&A【第2版】 P13より)

それでは、次章以降は主要な様式の書き方についてチェックしていきましょう。

 

小規模事業者持続化補助金の様式1の書き方

 

様式1は補助金事業<一般型>に係る申請書です。ホームページにある記入例を見ていただいてもわかる通り、「記入日」と「代表者の情報」を記入欄に書くだけなので、非常に簡単です。

記入例を見ると、「記入日」と記載がありますが、実際には申請書を送付する日を記載するというところが要注意ですね。郵送される場合はポストに投函する日、電子申請をされる方は電子申請する日を記載しておくとよいでしょう。

ただし、ここが違うからといって、審査不合格となるようなことはないかと思います。代表者の情報は個人事業主の方は開業届に記載の住所、法人の方は登記された住所を記載することになります。

実際にはご自宅や店舗の住所になるかと思います。最後に押印が必要なので、忘れないようにしましょう。(執筆時点ではハンコレスの話題が多いので、将来的には押印はなくなっている可能性があります。

最新の公募要領を確認しましょう。)さて、記入事項としては以上ですが、様式1は申請書ということで、トップにくる書類です。申請にあたって、以下の書類を提出します、内容に嘘偽りがないことを誓いますとか、重要事項をしっかり読んで誓約しますといったことがあらかじめ記載されていますので、しっかり内容を理解しておきましょう。

特に重要事項をきちんと読んで理解していないと、せっかくの補助金がもらえないなど最悪の事態が生じることがありますので、一度落ち着いてきちんと読まれることを強くお勧めします。

 

小規模事業者持続化補助金の様式2の書き方

 

そして、いよいよ目玉となるのが様式2です。順を追ってみていきましょう。「経営計画書兼補助事業計画書①」の<応募者の概要>は事務的な事柄ですので、説明は割愛します。

記載例もありますので、確認しながら記載していきましょう。ここからは、難しい言葉が並んでいますので、簡単に確認していきましょう。なお、様式の中に公募要領のページ数が登場しますが、本記事においては、すべて「公募要領第8版」時点のページ数です。

ご自身で申請される際は、様式に記載された最新版の公募要領の該当ページを確認してください。

「【以下、採択審査時に「事業承継加点」の付与を希望する、代表者の「基準日」時点の満年齢が「満60歳以上」の事業者のみ記入】」については、家族や他人の事業を引き継ぐ場合の話なので、関係する方のみ記入でOKです。対象外の方が多いかと思います。

「<第3回~第4回受付締切分に応募の場合のみ> 令和元年度補正予算事業(第1回~第3回受付締切分)の採択・交付決定 を受け、補助事業を実施している(した)事業者か否か。」については、同じ年度で持続化補助金に採択されている場合は応募できないので、応募する場合は必ず「補助事業者でない」にチェックを入れます。

「<全ての事業者が対象>「令和2年度補正予算 小規模事業者持続化補助金 の採択・交付決定を受け、補助事業を実施しているか否か」」についても、実施している場合は応募ができないので、「実施していない」にチェックを入れます。

「<全ての事業者が対象> 補助対象事業として取り組むものが、「射幸心をそそるおそれがある、また は公序良俗を害するおそれがある」事業(公募要領P.36 参照)か否か。」についても、「該当しない」にチェックを入れてください。公募要領の該当ページも一読するようにお願いします。

「新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の取組を行い、事業再開枠の利用を希望するか否か。 ※P61 Ⅲ.「本事業(事業再開枠)について」をご参照の上、様式 7・8・9 をご記入ください。」については、ぜひ取り組みたいところです。

もし取り組みたいという場合は、追加書類は必要となりますが、「希望します」にチェックをお願いします。事業再開枠は業種別ガイドラインに沿って新型コロナの感染防止対策を講じる費用に対し、上限を50万円上乗せしてくれるものです。

当たり前のようにアルコール消毒液やマスク、飛沫防止用アクリル板などの費用が新たに発生しているかと思いますので、ぜひこの制度を使って少しでも負担を軽減したいものです。

次の「<下記に該当する事業者が対象>特例事業者に該当し、上限引き上げを希望するか否か。」については、エステサロン経営者の皆様は対象外ですので、「希望しない」・「該当しない」にチェックを入れていただければ大丈夫です。

「<全ての事業者が対象> 採択審査時に以下の政策加点の付与を希望するか(重複可)。 希望する場合は、以下の欄を記載すること。」についてです。①賃上げ加点、②事業承継加点、③経営力向上計画加点、④地域未来牽引企業等加点ですが、詳細にすると長くなってしまいますので、割愛します。該当しなければ、「希望しない」にチェックで大丈夫です。

最後は過去の年度で補助金を採択されたことがあるかを聞いているので、今回が初めての方は「補助事業者でない」にチェックを入れてください。

さて、ここまでが事務的な記載事項でした。ここからが書くのに非常に頭を悩ませる方も多いであろう<経営計画>と<補助事業計画>です。<経営計画>と<補助事業計画>の出来不出来が、補助金獲得の分かれ道です。<経営計画>と<補助事業計画>に記載する内容は以下の項目です。次の章ではどう書けばいいか、ポイントをお伝えしていきたいと思います。

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<経営計画>

1.企業概要
2.顧客ニーズと市場の動向
3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み
4.経営方針・目標と今後のプラン

<補助事業計画>

1.補助事業で行う事業名【必須記入】(30文字以内で記入すること)
2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容【必須記入】(販路開拓等の取組内容を記入すること)
3. 業務効率化(生産性向上)の取組内容【任意記入】*公募要領P.35に該当する取組を行う場合は本欄に記入します。特になければ本欄は空欄のままご提出ください。
4.補助事業の効果【必須記入】*販路開拓等の取組や業務効率化の取組を通じて、どのように生産性向上につながるのかを必ず説明してください。

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小規模事業者持続化補助金の申請書類作成のポイント

 

<経営計画>はこれまでの振り返りをおこなって、ご自身のエステサロンがどのようなサービスを提供しているか、どんなお客様に利用していただいているか、どんなところを売りにしているか、またお客様はどのようなところを評価してくれているのか、どうしたらもっと喜んでもらえるか、他にどんな客さんが利用してくれそうかを考えてみましょう。

さらに、今後どのようにご自身のエステサロンを経営していきたいか、どう大きくしていきたいか、どんなふうにお客様に愛されるエステサロンにしていきたいかの夢を描きましょう。

ある程度根拠も書いておくと納得性があってよいです。
<補助事業>は上記の経営計画の実現に欠かせないことを説明するものです。お金さえあれば、こんなに経営が良くなるということを根拠も踏まえて、書きましょう。

あくまで経営計画の実現なので、出来上がった補助事業が経営計画と全く関係ないことや、矛盾していると補助金採択は難しいことを肝に銘じておきましょう。

さて、そうはいっても実際に書くにあたって何か参考が欲しいですよね。
記載例もいくつか用意されていますが、エステサロンの参考がないとお思いの方も多いかと思います。そのような方は下記に「小規模事業者の経営計画作成実践事例集」や「小規模事業者持続化補助金 採択事業者取り組み事例集」のPDFファイルがありますので、ぜひ参考にしましょう。もしかすると、ご自身の悩みの解決につながるヒントがあるかもしれません。

令和元年度補正予算 日本商工会議所 小規模事業者持続化補助金 :: 持続化補助金とは (jizokukahojokin.info)

以下、各項目について、盛り込むべきポイントを記載していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
<経営計画>と<補助事業計画>をあわせてA4用紙8枚が上限ですが、8枚の範囲名で画像の挿入や図示は積極的に行いましょう。

<経営計画>
1.企業概要
設立年月
立地の説明:住所ではなく、お客様が友人家族にあなたのお店の場所を説明するイメージで書くとよいでしょう。
営業時間
スタッフ数
提供サービス・製品の売上順・利益順の表
写真:店舗の外観・内観・お客様への施術の様子などの写真があるとイメージがわき、なおよいでしょう。

2.顧客ニーズと市場の動向
市場動向:Googleなど「エステサロン 市場動向」などで検索すると、矢野経済研究所や民間のレポートが出てきますので、引用する形で客観的な情報を記載しましょう。加えて、ご自身の店舗のローカルな情報(商圏)も記載するとよいでしょう。

対象顧客層:主なお客様の属性情報を記載しましょう。以下の観点を盛り込むとよいでしょう。特に常連のお客様を中心にお得意様を分析する際に考えてみてください。常連または常連となりうるお客様が過去現在から未来にかけての増減などの予測も記載しましょう。特に地理的変数(ジオグラフィック変数)については、ご自身の商圏を記述する際に必要な情報ですので、必ず盛り込みましょう。

<盛り込みたい観点>

地理的変数(ジオグラフィック変数):〇〇駅周辺、ご近所、県内、居住地、勤務地など
人口動態変数(デモグラフィック変数):年齢、性別、職業、所得、学歴、家族構成など
心理的変数(サイコグラフィック変数):価値観、趣向、ライフスタイル、心理的特徴など
行動変数:いつ来店するか、どのくらいの頻度で、どのくらいの顧客単価か

顧客ニーズ:ご自身が思われているお客様のニーズを書くことも大事ですが、実際に常連のお客様に聞いてみるとよいでしょう。来店動機やお店の気に入ってくれているところ、リクエストがあれば、リクエストについてもヒアリングするとよいでしょう。あまりに具体的過ぎることを書くことも気が引けると考えてしまうかもしれませんが、小規模事業者の強みは小回りが利くサービスができることです。一人一人を徹底的に満足させることを目指しましょう。

既存のお客様が喜べば、他のお客様を紹介してもらえることにもつながります。顧客ニーズは自社の強みとのマッチングが重要です。マッチングできそうな顧客ニーズはないかの視点も持って記載しましょう。

ライバルとなる店舗の情報:あれば、特長も踏まえて記載しましょう。基本的にはライバルとは競争せず、すみわけを図るのが望ましいです。ライバルが大手チェーンであれば、大手の特長を掴んで記載しておくとよいでしょう。

3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み

ご自身の考えているお店のセールスポイントを記載するだけでなく、常連のお客様に実際に聞いてみて書くようにしてください。意外に自分が考えている強みと、お客様が評価してくれているものは違っていたりするので、気づかされることも多いかと思います。

また、もし競合の店舗の特長を記載していたならば、ぜひ競合とぶつからないところでセールスポイントがないかという視点で強みを書くとよいでしょう。

例えば、大手チェーン店にはお客様数で負けているというのがあった場合も、逆転の発想ができるはずです。例えば、自分の店にはお客様の数は少ないかもしれないが、一人一人のカルテを用意し、趣味やプライベートの話なども丁寧に記録するなどアットホームな店づくりをしており、お客様からもお話するだけでも楽しい、チェーン店ではこうはいかないと好評であるなどといった表現が可能かと思います。

4.経営方針・目標と今後のプラン

1~3で書いたことを踏まえて、今後どのようにご自身のエステサロンを経営していきたいか、どう大きくしていきたいか、どんなふうにお客様に愛されるエステサロンにしていきたいかの夢を具体的な方針・目標として描きましょう。その際には、数字で記載することが重要です。売上を目標にするのであれば、過去現在の売上推移を記載したうえで、目標売上を、時期を明確にして計画として記載しましょう。

<補助事業計画>
1.補助事業で行う事業名【必須記入】(30文字以内で記入すること)
タイトルです。キャッチフレーズにすることもOKです。採択事業のタイトル一覧がホームページの<過去の採択事業者一覧>にありますので、参考にしましょう。
<過去の採択事業者一覧>
小規模事業者持続化補助金 実施年度メニュー (jizokukahojokin.info)

2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容【必須記入】(販路開拓等の取組内容を記入すること)
例えば、目標売上を達成する為に、お客様の数をどう増やすのか、どう顧客単価を高くするのか、どう来店頻度を上げるのかなどを具体的な行動として、他社と異なる点、自社の強みを活用しながら小規模事業者ならではの創意工夫(中堅大手のような均一的なサービスではなく、小回りの利く、痒い所に手が届く、きめ細かい工夫、ワントゥーワンマーケティング)する点や特徴などを記載しましょう。またITを取り入れた取り組みであれば、加点評価されるので、検討しましょう。

また、ホームページを作成し、新商品・新サービスを告知するなどの場合は、ただブランド力を高めると記載するのではなく、Hot Pepper Beauty(ホットペッパービューティー)などでは実現できないことを具体的に記載し、お客様がどう増えるかのストーリーを記載しましょう。
そして、具体的な行動として、大事な観点は実現可能性と地道です。荒唐無稽な論理になってないか、現実的に実施できそうな話かどうかという視点は持って、確認しましょう。また、制度の趣旨として地道な販路開拓を支援するものです。取組内容を読んで、「うん、地道だ。」と審査員が思えるかどうかも、とても重要な観点です。間違っても、一攫千金やギャンブル要素の強いリスクが大きい取り組みは認められないことをご認識ください。

3. 業務効率化(生産性向上)の取組内容【任意記入】*公募要領P.35に該当する取組を行う場合は本欄に記入します。特になければ本欄は空欄のままご提出ください。
販路開拓等以外に業務効率化にも取り組む場合に記載します。特に記載しなくても、審査では不利とはならないかと思いますので、実際の計画に合わせて記載するかどうか判断してください。

4.補助事業の効果【必須記入】*販路開拓等の取組や業務効率化の取組を通じて、どのように生産性向上につながるのかを必ず説明してください。
売上、取引などにどのような効果があるか可能な限り具体的に記載することが求められています。事業がどう効果に結びつくかの理由を書く必要あります。例えば、目標売上があるのであれば、いくらの顧客単価でお客様が何人増加して達成できるというような算数で計算できるような説明が必要です。あまりに現実的でない計画でなければ、皮算用でも問題ありません。明確に記載し、必要な経費が漏れないようにしましょう。

いかがでしょうか、記載のイメージに少しは役立てば幸いです。

 

小規模事業者持続化補助金の申請書類作成の注意点

 

さて、主要な様式の記載方法について、ポイントも交えながら解説しました。
最後にまとめとして、申請書作成の注意点をいくつかお伝えします。

・公募要領や記載例に書いていることは愚直に読み、指示内容を守る。

補助金の採択は審査で決まる以上、審査基準があります。ビジネスコンテストで優勝するであるとか、イノベーションを起こさないと補助金が採択されないといった難しいものではありません。

公募要領や記載例には、作成にあたってのメッセージがありますので、見逃さずに指示内容としてとらえ、必ず盛り込んでいきましょう。

例えば、公募要領では、審査において以下の項目を加点審査項目とすると明示しています。
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経営計画書・補助事業計画書について、以下の項目に基づき加点審査を行い、総合的な評価が高いものから順に採択を行います。

①自社の経営状況分析の妥当性
◇自社の製品・サービスや自社の強みを適切に把握しているか。
②経営方針・目標と今後のプランの適切性
◇経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか。
◇経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか。
③補助事業計画の有効性
◇補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。
◇地道な販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか。
(共同申請の場合:補助事業計画が、全ての共同事業者における、それぞれの経営計画
の今後の方針・目標を達成するために必要か。)
◇補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。
◇補助事業計画には、ITを有効に活用する取り組みが見られるか。
④積算の透明・適切性
◇事業費の計上・積算が正確・明確で、事業実施に必要なものとなっているか。
—————————————————————————–
(引用:公募要領第8版 P57より)

また、記載例にも下記図のような記載がありますので、上記加点審査と併せて確認しましょう。

 

<経営計画>

企業概要 ※どのような製品やサービスを提供しているかお書きください。また,売上げが多い商品・サービス、利益を上げている商品・サービスをそれぞれ具体的にお書きください。
2  顧客ニーズと市場の動向 ※お客様(消費者、取引先双方)が求めている商品・サービスがどのようなものか、また自社の提供する商品・サービスについて、競合他社の存在や対象とする顧客層の増減など売上げを左右する環境について、過去から将来の見通しを含めお書きください。
自社や自社の提供する商品・サービスの強み ※自社や自社の商品・サービスが他社に比べて優れていると思われる点、顧客に評価されている点をお書きください。
経営方針・目標と今後のプラン ※1.~3.でお書きになったことを踏まえ、今後どのような経営方針や目標をお持ちか、可能な限り具体的にお書きください。また、方針・目標を達成するためにどのようなプラン(時期と具体的行動)をお持ちかお書きください。

 

<補助事業計画>

補助事業で行う事業名 ※本事業のタイトルを簡略にお書きください。
2  販路開拓等(生産性向上)の取組内容 ※本事業で取組む販路開拓などの取組について、何をどのような方法で行うか、具体的にお書きください。その際、これまでの自社・他社の取組と異なる点、創意工夫した点、特徴などを具体的にお書きください。
業務効率化(生産性向上)の取組内容
補助事業の効果 ※本事業を行うことにより、売上げ、取引などにどのような効果があるか可能な限り具体的にお書きください。その際、事業を行うことがその効果に結びつく理由も併せてお書きください。

 

・経費対象の確認をする。
経費対象が補助金の趣旨と合っているかどうか、申請書を作成する前に公募要領に記載されている「補助対象経費」をよく確認しておきましょう。

例えば、今回の補助金の目的が単にお店のホームページを作りたいだけといった場合は、残念ながら採択されません。ホームページの作成の場合は、「広報費」にあたりますが、公募要領第8版P40 に以下の文言があります。

「補助事業計画に基づく商品・サービスの広報を目的としたものが補助対象であり、単なる会社のPRや営業活動に活用される広報費は、補助対象となりません。(商品・サービスの名称も宣伝文句も付記されていないものは補助対象となりません。)」

おわかりでしょうか。つまり、単なるお店のホームページをつくったというのは補助事業に該当しないため、補助金採択の対象外です。

あくまで、補助事業計画として取り組む新商品や新サービスの広報のためのホームページという位置づけでないと認められないことになります。本音はホームページの作成という経営者の方も、立ち止まって補助事業計画を練り直すことが必要になります。

繰り返しになりますが、思い描いた計画が補助金の経費として当てはまるかどうかは公募要領をよく読んで確認しましょう。

 

小規模事業者持続化補助金は難化傾向

 

最後に執筆時点での採択率を確認しましょう。(注:執筆時点では、コロナ特別対応型はすでに終了しており、新たに低感染リスク型ビジネス枠が始まります。コロナ特別対応型の採択率は参考としてご確認ください。)

 

一般型

公募締切日 発表日 申請件数 採択件数 採択率(%)
第1回 3月31日 5月22日 8,044 7,308 90.9
第2回 6月5日 8月7日 19,154 12,478 65.1
第3回 10月2日 令和3年

1月22日

13,642 7,040 51.6
第4回 令和3年

2月5日

 

コロナ特別対応型

公募期間 発表日 申請件数 採択件数 採択率(%)
第1回 5月15日 5月29日 6,744 5,503 81.6
第2回 6月5日 7月22日 24,380 19,833 81.3
第3回 8月7日 10月30日 37,302 12,664 33.9
第4回 10月2日 令和3年2月上旬
第5回 12月10日

<コロナ特別対応型>は80%超の採択率から、一気に33.9%の採択率に下がりました。まさにコロナの影響で申請件数(6,744件→24,380件→37,302件)が倍増していっているのも読み取れますが、第2回の19,833件をピークに採択件数自体が下がっているのも印象的です。

一方、今回紹介した<一般型>も、当初の90.9%という大盤振る舞いの採択率から、65.1%、51.6%とほぼ半数の採択率となっています。

<コロナ特別対応型>と比較すれば若干緩やかな下落傾向ですが、この傾向が続けば、30~40%まで下落してもおかしくはないでしょう。

この採択率下落の背景には採択基準の引き上げがあったと考えられます。しかし、まだまだ十分チャンスの多い採択率といえるのではないでしょうか。

今回の記事を参考にしっかり公募要領等を読み直し、申請書類に磨きをかけていきましょう。特に、公募要領P57にある加点審査の説明では、「経営計画書・補助事業計画書について、以下の項目に基づき加点審査を行い、総合的な評価が高いものから順に採択を行います。」と記述がありました。

加点項目をすべてクリアすることが、採択のカギを握ると言えそうです。

最後になりましたが、持続化補助金事業は、小規模事業者である皆さんが自ら自社の経営を見つめ直し、経営計画を作成した上で行う販路開拓の取組を支援するものです。

これを機に誰かの言葉のコピペではなく、自分の頭で考え、自分の言葉で伝えることができれば、補助金を獲得する以上の気づきが得られるはずです。その考えるきっかけに本記事が一助となれば幸いです。

また、自身では書類制作が難しいと感じたら、mkyo57でのサポートもありますので気楽にお問い合わせいただけましたら幸いです。

  • 原田英彦(HIidehiko Harada)
    原田英彦(HIidehiko Harada)

    「経済産業大臣登録中小企業診断士。情報処理技術者。メーカーで人事労務業務に従事する傍ら、経営改善に関する中小企業支援や執筆を行う。 関心事は働き方改革、生産性向上、IT利活用、DX化。」

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