美容室開業時に必要なものは?初期費用を抑える方法を紹介!

美容室開業時に必要なものは?初期費用を抑える方法を紹介!

 

こんにちは!美容室を開業している皆さんへ、開業するにあたって、どんなものを揃える必要があるのか、費用はいったいどの程度かかるのか、考えてみたことはありますか?

 

美容室開業時に必要な費用とは?

 

頭の中で理想の美容室を思い描いてみましょう。店舗のドアを開けると、素敵な内装には、どのようなものがあるでしょうか。

カット椅子、シャンプー台、大きな鏡、待合席のソファー・椅子、レジ、棚やラック、店内BGMを流すスピーカー、はたまた観葉植物など、色々頭の中に見えてきますね?

美容師さんの手には、ヘアブラシやハサミ、ドライヤー。備え付けのシャンプーやリンス、髪染め液などの消耗品。さて、どの程度想像できましたでしょうか?パッと思いついただけでも、これで十分ではない気がして、揃えるにしてもいったい、資金はいくら必要なんだろう?

考えるだけで漠然と不安を感じたりしていませんか?今回はそんな不安を少しでも解消するべく、具体的に紹介したいと思います。また、費用を少しでも浮かせ、資金を効率よく集める方法も紹介したいと思います。

これを読んだ後には、開業にはどんなものが必要で、どうやって揃えていけばよいかの対策を立てることができるようにしたいと思います。ぜひ、最後までお付き合いください。

 

美容室開業の初期費用①「備品」

 

この章では美容室に必要な備品について見ていきましょう。開業資金とのやりくりが欠かせませんので、いったい何が必要で、それぞれどれくらいの費用がかかるのかを知るために、リスト化することをお勧めします。

まず外せないのは、カット椅子とシャンプー台です。カット椅子は、お客様が一番過ごす場所と考えて差し支えないものです。全自動のものからフットペダルで高さ調節を行うものまで、機能も様々あれば、デザインも様々です。お店の雰囲気に合わせたデザインを選びのも楽しいものですし、お客様の快適性にも気を付けたいですね。

お店の面積によって、設置する椅子の台数も決まると思いますので、正しく見積もりましょう。お店の売上予測の計算にも非常に重要になりますので、あいまいな台数の見積もりは厳禁です。シャンプー台も同様です。

シャンプー台も欠かせない設備のひとつです。水道管との連携が必要になりますので、設置場所がどこになるかを念頭に置く必要があります。シャンプー台ではお湯も使いますので、ボイラーが必要になります。カットやシャンプー以外にも、デジタルパーマ機やドライヤー、ヘアアイロンなども必要になるのは想像に難くないと思います。

それ以外にも、鏡、棚やラックなどの調度品や、待合室のソファーもお店の雰囲気に合ったものを選ぶ必要があります。お客様が居心地のいい空間を演出するのに必要なものばかりなので、お金との相談ではありますが、楽しみながら悩みたいものです。

その他にもレジや予約管理や勤怠管理や経理ソフトのためのパソコンなども必要になります。お店によってはタブレットを配備して、紙の雑誌ではなくdマガジンなどの雑誌の読み放題を読んでもらうようにするお店も増えていますね。このようにカット台やシャンプー台などの美容室な必ず必要なものから、レジなどお店であれば必ず必要なもの、インテリア要素の強い調度品やタブレットなどお店を演出する為にプラスアルファで必要なものもあります。

これら一回買ってしまえばよいものから、日々使用するシャンプーやトリートメント、パーマ薬剤、タオルなど消耗品も考えなくてはなりません。後述する相場の調査で、しっかり価格をチェックして、備品リストを作成しましょう。

 

美容室開業の初期費用②「設備」

 

つぎは設備についても、見ていきましょう。先ほどシャンプー台のところでも少し触れましたが、シャンプーするにしても水道やガスを必要としますし、店内には電機や空調が必要になります。

つまり、電気設備、空調設備、ガス設備、給排水設備、給湯設備も美容室を開業するうえで、避けて通れない費用になります。何の設備もないスケルトン物件であれば、0から設備を設置するので、費用もかかりますし、工期も長くなります。

一方で、居抜き物件であれば、残っている設備をうまく使えさえすれば、短い工期で比較的費用を掛けずにお店作りを行うことができます。どれも内装工事を伴うものですので、工事業者に見積もりを取って、進めていきましょう。

設計施工業者の場合は店内のデザインも込みでやってくれるところも多いので、気に入った設計施工業者を見つけるためにも手掛けた物件を確認するほか、独立している先輩にうまく紹介してもらうなどして、探しましょう。

 

美容室の開業費用を抑えるための準備①

 

美容室開業のためにどのような初期費用が掛かるか見てきました。ここからはどうしたら開業費用を少しでも抑えられるか、その準備について考えていきたいと思います。

まず、開業費用のリスト化を行いましょう。ご自身の中での予算を立てて、その範囲内に収まるようにきちんと計画を立てることが重要です。やはりいい店づくりをしたいと誰しも思うところですが、お金は無尽蔵にあるわけではありません。

無計画にあれもこれも購入していると、気づいたら大赤字になりかねません。リスト化して、金額を見積もる中で、本当に必要なものなのか、お店の売上・利益につながるものかどうか、つまり投資か浪費かをシビアに見極めていきましょう。

特にいきなり揃える必要もありません。徐々にお店をよくしていくという視点も大事かと思います。小さく始めるのが起業の基本と言われることもありますが、お店作りも同じことがいえるかと思います。

次に、専門の通販サイトをブックマークするなどしていつでも見ることができるようにしておきましょう。安く備品を購入するためには備品価格の相場観を知る必要があります。

相場の調査については、次の章で触れたいと思います。その他、新品だけでなく、中古やアウトレットで購入することもできます。専門の通販サイトもありますので、中古やアウトレットで掘り出し物がないかも要チェックです。新品で購入するより格安で購入することも可能です。

 

美容室の開業費用を抑えるための準備②「相場の調査」

 

それでは、美容室の開業費用がどの程度かかるのか、その相場感について考えてみたいと思います。美容室の開業費用は10坪の店舗で考えた場合500万円未満と算定するところもあれば、1000万円を超える算定もあります。おおよその分類と割合を記載しますので、参考にしてみてください。

内外装工事:50%
機械、什器、備品等:15~20%
運転資金:15~20%
テナント賃借費用:10~15%
その他:5~10%

この中でまず、1の内外装工事については、先にも記載した通り、スケルトン物件よりは、居抜き物件を探すのがよいでしょう。

専用の電気設備、空調設備、ガス設備、給排水設備、給湯設備も、元美容サロンなどの居抜き物件であれば、工事が不要になり、スケルトン物件で0から工事するに比べて半額程度まで抑えられる可能性があります。

2の機械、什器、備品等については、新品だけでなく、中古やアウトレットなどを探すのが良いでしょう。また、リースで導入することにより、初期費用を押さえて、費用の支出を長期間でならす方法も有効でしょう。

リースの見積もりを取得することも検討してみてください。4のテナント賃借費用についてはどの地域に出店するか、費用が大きく変わってきます。都心であればあるほど、駅近な物件など、費用は高くなります。出店するエリアはどこか穴場かを考えることで大きく費用を抑えることができます。

 

開業に必要な初期費用「設備資金」とは?

 

ここまで様々な費用について見てきました。ここからは改めて「設備資金」と「運転資金」の2つの切り口から見ていきたいと思います。

「設備資金」と「運転資金」は一言で表現するならば、開業するために必要なのが「設備資金」、開業後営業していくのに必要なのが「運転資金」です。

運転の名前を借りて例えるならば、自動車を購入する資金が「設備資金」で、ガソリンが「運転資金」というイメージでしょうか。

では、美容室の設備資金についてはどうかというと、これまで説明してきた多くの費用が設備資金となります。設備資金を大まかに分類すると以下の通りになります。

下記の分類を参考に必要となる設備を漏れなくリストアップし、設備資金を見積もりましょう。見積り後は、ご自身の予算の範囲内でやりくりを検討していきましょう。

 

大分類 小分類
物件取得費用 前家賃
店舗保証金
礼金
仲介手数料
内外装工事費用 天井や床、壁の内装、店舗設計デザイン
給排水や空調、電気、ガスなどの設備工事
美容器具 スタイリングチェア
シャンプー台
スチーマー
トリートメントやパーマなどの専用機材
ドライヤー
美容器具

以外

パソコン・タブレット
洗濯機
POSレジ
電話
ワゴン・ラック
冷蔵庫
待合室用のチェア、テーブルなど調度品
材料費 シャンプー、トリートメント類
カラー剤など各種薬剤
タオル
イヤーキャップ
クロス、ケープなど
広告宣伝費 美容室のウェブサイトの作成、運営費
チラシの作成費
広告掲載費
ポスティング費用

 

開業に必要な初期費用「運転資金」とは?

 

同じように、運転資金を見ていきましょう。運転資金とは、設備資金とは異なり、形がなく、継続的に発生する費用のことです。

人件費や光熱費・通信費や家賃といった運転準備金はお店の売上、お客様の来店状況にかかわらず、費用が掛かってくるもので固定費と呼ばれるものです。

売上がなくても払わなくてもいけない費用なので、どんなに少なくても3~6か月分は用意が必要です。1年分あると安心でしょう。

美容室は売上が現金であることが多く、現金の回収期間が比較的短い業種ですが、日々の資金繰りに困ることがないように十分な運転資金の確保が必要です。美容室廃業の多くの原因が現金のショートによるものです。

下記の費用の毎月の支払い期日をよく確認して、開業から売上が軌道に乗るまでは売上計画も含めて、お金の出入りをよく把握し、計画的な資金繰りを立てましょう。

 

大分類 小分類
運転準備金 人件費・社会保険料
光熱費、インターネット含む通信費
家賃
材料費 カラー剤やパーマ剤
シャンプー等の水物
パーマロッドや刷毛
クロス類などの消耗品
広告宣伝費 ホームページやチラシの作成費用
広告掲載費用
人材採用費用 求人誌や求人サイトへの掲載費
人材紹介業者へ支払う費用
その他 観葉植物
飲み物
雑誌

 

美容室初期費用の準備方法とは?

 

美容室開業に必要な初期費用について見てきました。さて、これらの費用を賄うのに必要な資金を皆さんはすべて自分で貯金して用意することができるでしょうか。

とても現実的ではないと考える方がほとんどかと思います。この章では、そんな皆さんのためにどのように資金調達すればよいかについてご紹介したいと思います。

まず、ご自身で用意することができない以上、足りない部分については、外部から調達する必要があります。では、外部とは、どのようなところが考えられるでしょうか?

まず、銀行などの金融機関が考えられるかと思います。残念ながら、銀行などは皆さんの信用力に対して融資をするかどうかを決めます。信用力が問われる以上、独立開業したてのような場合は、ちゃんと順調に営業してお金を返していけるかの保証がなく、信用力はないとみなされるのが現実です。

では、他にどのような外部調達手段が考えられるでしょうか。頼れるところを2つご紹介します。まず一つ目は、日本政策金融公庫です。

国が100%出資した政策金融機関で、創業や開業する人に対しても低金利で長期に貸し付けをしてくれる強い味方です。特に美容室開業を目指す方には無担保・無保証人で利用可能な「新創業融資制度」で3000万円を限度に、「一般貸付(生活衛生貸付)」で7200万円を限度に融資をしてくれます。

また、美容室開業セミナーなども行っているので、情報収集にも非常に向いています。次に2つ目は信用保証協会です。信用保証協会とは、信用保証協会法に基づき作られた公的機関です。

信用力に乏しい中小企業・小規模事業者が銀行等、民間金融機関から融資を受けるとき、信用保証協会が事業者の保証をすることで資金調達が円滑に行くよう支援することを目的に設置されています。

先ほど直接の融資は難しいとご紹介しましたが、この信用保証協会の保証を受けることで、金融機関からの融資も可能となります。

ただし、日本政策金融公庫とは違い、保証料という手数料を信用保証協会に支払う必要があることに注意が必要です。どちらも申込みにあたっては、事業計画書の提出が求められます。

資金の計画ももちろんですが、どのように事業を行っていくのか専門家のアドバイスも受けながら計画を立てましょう。数千万円の融資が受けられれば、ご自身の資金と合わせて、開業資金の準備も決して夢のような話ではなくなるはずです。詳細は各機関のホームページ等でよく確認してみてください。

 

美容室を開業するときに使いたい助成金

 

美容室開業にあたって活用できる補助金や助成金について確認してみましょう。どれも美容室開業に限定したものではなく、創業・開業に焦点を絞ったもので、かつ個人事業主でもチャレンジできるものをご紹介しています。

今回も、創業助成金、小規模事業持続化補助金、IT導入補助金の3つについてご紹介したいと思います。1つ目は創業助成金です。

創業助成金は各自治体が創業資金や準備金に必要な経費を補助するもので、自治体により補助金額は異なりますが、東京都の場合だと、助成率3分の2で100〜300万円が助成されます。

国レベル、都道府県レベル、市区町村レベルごとに創業支援事業を行っていますので、「東京都 創業 補助金」、「渋谷区 創業 補助金」といった具合に検索エンジンで調べてみるとよいでしょう。

同時に創業相談事業も行っており、税理士や社会保険労務士、中小企業診断士といった専門家が無料で相談に乗ってくれますので、本記事の内容や事業計画書の書き方について掘り下げて聞くことも可能です。ぜひ活用してみましょう。

次に小規模事業持続化補助金です。小規模事業持続化補助金は地域の商工会議所または商工会の助言等を受けて経営計画を作成し、その計画に沿って地道な販路開拓等に取り組む費用の2/3が補助され、補助上限額:50万円です。

開業支援を目的としたものではありませんが、開業時の販路開拓に取り組ために役立つ補助金です。
最後はIT導入補助金です。

中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助するもので、業務効率化・売上アップをサポートすることを目的としています。

ITといわれて難しくとらえる必要はありません。会計や給与計算など、手書きでやっていたような事務作業をシステムで効率化するようなものも十分に対象になります。

補助率は2分の1で30万円から補助されます。単なるホームページ作成だけでは補助対象外ですが、予約管理システムなどのITツールを組み合わせると、補助対象となるので、お店のホームページを持ちたいと考えている方は検討してみるとよいでしょう。

補助金や助成金は中小企業のあらゆるシーンに対しメニューが用意されており、毎年種類も内容も変わります。すべてを頭に入れるのは本業に支障をきたしかねませんので、各自治体のホームページから創業支援制度を時々見てみるとよいでしょう。

また、中小企業庁が運営するJ-NET21では補助金のまとめページがあります。横断的に検索できるので確認することをお勧めします。

 

美容室開業時に必要なものは?初期費用を抑える方法を紹介まとめ

 

さて、いかがだったでしょうか。美容室の開業にあたっては、まず必要な費用とその資金を洗い出すことが重要です。

洗い出したリストとその見積もりと、ご自身の予算を照らし合わせ、費用を抑えることができないか、本当に最初から必要かどうか、また必要にしても新品ではなく、相場や中古・アウトレット、リースなども調べてできる限り抑えることが重要です。

開業費用のリストを精緻なものに見直しましょう。その後は、調達手段です。ご自身の貯蓄以外にも日本政策金融公庫や信用保証協会による保証を得て、金融機関から融資をできる方法をご紹介しました。

また、補助金や助成金なども使えるものは積極的に活用していくとよいでしょう。

最後になりますが、一人で考えるだけでなく、無料で活用できる専門の相談員などが自治体の創業支援機関などに在籍していますので、税理士や中小企業診断士など創業支援のプロに相談してみることもお勧めします。

少しでもお役に立てば幸いです。それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 原田英彦(HIidehiko Harada)
    原田英彦(HIidehiko Harada)

    「経済産業大臣登録中小企業診断士。情報処理技術者。メーカーで人事労務業務に従事する傍ら、経営改善に関する中小企業支援や執筆を行う。 関心事は働き方改革、生産性向上、IT利活用、DX化。」

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