美容室の経費の中で一番高額で、大切な経費は人件費です。美容室の価値は美容師で決まっているといっても過言ではないからです。
美容師の年収相場とは?
2018年の厚生労働省 賃金構造基本統計調査から美容師の年収をみると平均年収は284万円です。日本人の平均年収は422万円ですから138万円ほど低い数字です。
年代別にみると男性の場合、20~29歳で249万円、30~39歳で380万円、40~49歳で449万円、50~59歳で380万円です。マスコミ等の影響からか一見華やかに見える美容師の年収は意外に低いのです。
年収でも高卒の平均が420万円に対して平均は296万円です。また、生涯賃金では、高卒が1億9000万円に対して美容師は1億4200万円となり低くなります。
平均賃金が低い理由は、サラリーマンのように年功序列の生活給をベースとした賃金体系ではなく、実力や実績ベースの賃金体系だからです。努力して腕を上げ顧客がつけば高い収入が得られます。
そうでなければ低い収入に甘んじなければなりません。プロゴルファーやプロテニスプレイヤーがそうであるように高額の収入が得られる人は少なく多くの美容師が相対的に低い収入なのです。
一握りのトッププレイヤーとその他という構造です。カットの技術を日々の努力によって腕を磨き、顧客が希望する髪形や顧客をきれいに見せる髪形にカットし、同時に施術の間は顧客を気持ちよくさせるように会話し、痒いところに手が届くような気遣いができる。
そんな技術やもてなしの術を身に着けたものだけが顧客から指名を貰い歩合で高収入を得れる厳しい世界なのです。
実力によって美容師の年収は変わる
美容業は事業面からみると顧客が美容師個人につくという小売業等の他の業界にはない特性があります。売上が店というより美容師についてくるので、美容室の利益も働いている美容師のカット技術や接客技術に大きく依存することになります。
従って、年収も美容師の働きに応じて個人差が出やすく設計されているので一概に平均で年収を比較することはできません。実力主義といってもいいでしょう。
年収は、美容師が美容室に勤めている場合の美容師のランク、独立の美容師、美容室のオーナー等その立場の違いによって大きく変わります。美容室に勤めている場合は美容師のランクがあります。
美容師になる前の雑務やシャンプーをするアシスタントは月収13~17万円、美容師のなりたてのジュニアスタイリスト月収で16~23万円です。
すべてのお客様に施術できるようになればスタイリストとして月収で20~30万円と指名料、報奨金、役職手当がつき、さらにトップスタイリストは月収50万円以上となります。
つまり、努力をすれば技術力と接客力が備わり人気のスタイリストになれば高収入も実力でつかむことができるのです。年齢とは関係ありません。さらにキャリアアップしたスタイリストは独立して自分の美容室を持つ美容師もいます。
そして、複数の美容室を経営するようになれば年収で1000万円以上稼ぐスタイリストもいるようです。美容師の業界は実力社会です。
カット技術と接客技術を磨き人気を得ることができれば、独立開業してより大きな年収を自分の努力で得ることができるのです。
独立かスタッフかで美容師の年収は変わる
美容師の年収は個人のカット技術や接客技術に大きく依存します。スタッフで働くとすると、美容室での美容師のランクや役職等その立場の違いによって大きく変わります。
美容室のスタッフとしての収入は、美容師になる前の雑務やシャンプーをするアシスタントが年収150~60万円程度ですが、店長やトップスタイリストとして月収と指名料、報奨金、役職手当がつき年収600万円以上となります。
つまり、努力をすれば技術力と接客力が備わり人気のスタイリストになれば高収入も実力でつかむことができます。生活は安定しリスクはありませんが、自由度は低く、それ以上の年収を得るのは難しいようです。
多くの美容師はキャリアのさいごに独立して自分の店を持とうとします。キャリアアップし独立したスタイリストは年収で600万円以上稼ぐといわれています。
店舗を持って複数の美容師を雇用し、2店舗3店舗と美容室を経営するようになれば1000万円稼ぐスタイリストもいるようです。
しかし、独立して店を持つことは、高い自由度と裏腹にとても大きなリスクがあります。
美容師は客商売です。お店の雰囲気や設備等に顧客がついているわけではありません。多くの顧客は、美容師の技術や接客にひかれて集まっています。
美容師が独立したり、退職したりすると一気に顧客が離れる可能性があります。スタッフはいつか独立していくと思わなくてはなりません。
スタッフとして頂点を目指すのか、独立して自分の店を持つかは、収入やリスク、自由度等総合的に見れば一長一短です。自身にあった将来の姿を見つけてそれに向かって努力すれば夢は実現できます。
オーナー美容師の年収は美容室経営次第
1人でどれだけ売り上げられるでしょうか?客単価は6000円、平均施術時間は1.5時間、営業時間8時間、営業日数は週休1日で24日とします。
この時の月の売り上げは最大6,000×6×24=86.4万円です。年間では1036.8万円です。そのうち人件費は一般に人件費は45~55%程度です。
50%とすると年収で約500万円となります。普通に美容室をやったのでは、年収500万円程度までといえます。では、年収を引き上げるために何をしたらよいのでしょうか?
いくつかの方法があります。売上を上げる方法を考えます。売上高は次の式で表されます。売上額=客単価×客数です。さらに分解すると客単価=商品・サービス単価×品数です。
さらに客数は、客数=新規客+固定客、或いは客数=顧客数×リピート回数で表されます。従ってここにあらわされたそれぞれを大きくすればよいのです。
まず、すでに空き時間がないぐらいに顧客が来ているとします。つまり、500万円以上の売上を目指す場合は、客単価を上げる必要があります。
客単価は、一人当たりの売上を上げることです。お客様の望むより高い付加価値を提供すれば売上げは上がります。
①カウンセリングを通じてシャンプー他の物販を積極的に行うこと。
②高額の付加価値のつく施術を行うこと。
③美容だけでなくエステやネイルサロン、マッサージ等より付加価値の高いサービスを提供できるようにすること。
等が挙げられます。つまり、顧客の美容にかかわるニーズをワンストップで提供することで付加価値を、上げて客単価を増やします。
もう一つは客数を増やす方法です。500万円に届いていないならまず、空き時間をなくすようにより多くの顧客を獲得しなくてはなりません。美容室では施術している時しか価値を生みません。
できるだけ、空き時間をなくし高い生産性を上げるために客数を増やすことが必要です。客数は固定客と新規客です。固定客を中心にお客さんの来店数を上げるために、例えばタイミングよくダイレクトメールを送り来店頻度を上げる工夫をすること。
また。新規客を増すためにチラシやSNSを活用して販売促進を行うことが挙げられます。こういった客単価と客数を上げることで売上を上げることができます。年収を上げるためには、両面から取り組むことが必要です。
オーナー美容師が年収1,000万円になるには?
オーナー美容師の年収が1000万円にするには、どんなビジネスモデルが必要なのでしょうか? 1人でどれだけ売り上げられるでしょうか?
一般の美容室で考えると一人で頑張って仕事して年間500万円というのがオーナー美容師1人で達成できる年収と思われます。では、1000万円の年収を得るにはどう条件が必要でしょうか。
美容の施術だけで考えてみます。固定費部分が軽減されるので売上に対する人件費比率を55%とすると売上目標を1800万円程度となります。
年間だと3000人の施術が必要です。月24日稼働で施術に1.5時間かかるとして日に11人の施術を行わなくてはなりません。つまり、一人ではとてもできません。ジュニアスタイリストを入れても人件費として年間350万円必要です。
つまり、1800万円の売上を上げてもオーナー美容師の収入は650万円程度となります。美容室の売上は施術時間から生まれるので売上げを伸ばすには施術時間を増やす必要があり、美容師が必要となるのです。
オーナーとしての年収を美容の施術だけで1000万円に上げるのは容易でないことが分かります。従って、施術時間ではない方法で収益を上げる方法を考える必要があります。
施術時間でなく客単価つまり付加価値を上げることが大事です。1000万円の年収を目指されるオーナー美容師の皆さんには、顧客の美容にかかわるニーズをワンストップで提供することで付加価値を上げて客単価を増やすことをお勧めします。
オーナー美容師が年収をアップするには①「集客」
開業間もない美容室では新規に顧客を集めなくてはなりません。美容室はコンビニの5倍もあり美容室の開業後3年間の残存率は10%程度といわれています。
生き残るには、事業を継続できるだけの売上と収益を確保しなければなりません。それをもたらしてくれるのが顧客です。顧客はどうして美容室に来るのでしょうか?
自分を美しく見せる最適な髪形になりたい、髪の悩みを解決してもらいたい、癒しや贅沢な時間を過ごしたいのだといわれています。集客では自身の美容室のコンセプトのターゲットとする客層に合わせた集客方法を選択することが必要です。
若い客層ならSNSもいいでしょう。しかし、お金と時間がある富裕層や高齢者層の顧客にSNSで美容室のコンセプトを訴えることができるでしょうか?やはりリアルな口コミが一番でしょう。
集客するための販売促進の方法はいくつかあります。それらを組み合わせて美容室のコンセプトあったターゲットである客層にアピールしなければなりません。
近所の高齢者が顧客であればリアルの広告媒体のチラシや名刺が有効でしょう。若いビジネスウーマンや女子大生ならインターネット上広告媒体としホットペッパー、美容室検索サイト、ホームページ、ブログ、フェイスブック、ツイッター、インスタグラム、インターネット広告が挙げられます。
美容室のターゲット顧客にヒットしやすい広告媒体を活用して集客に成功し売上を上げましょう。
オーナー美容師が年収をアップするには②「リピート」
美容室の顧客は、新規顧客と固定客に分かれます。新規顧客を獲得するにはチラシや、クーポン等の広告宣伝費を使ってお客様に美容室に来てもらい、店を気に入ってもらうことが必要です。
しかし、来てもらっても半分は一見さんです。一方、固定客はそんな費用はいりません。毎月広告費を使わなくてもリピートしてくれます。固定客は、安定した売上を作ってくれます。
さらに口コミで美容室に新しい顧客を呼んできてくれる等の販売促進もしてくれます。つまり、安定した売上と高い利益率を保証し、さらに売上の拡大を実現してくれます。
美容室経営は、持続的にリピートしてくれる固定客を作れるかが分かれ目となります。美容室の売上を安定させ、オーナー美容師の年収が上げることができるかは固定客を増やせるかで決まるのです。
固定客を確実に作るには、美容室のコンセプト対象とするターゲット顧客に合わせた店舗、内装、設備、技術、接客態度、カウンセリング、価格等のすべてが一貫していることが大事です。
多くの場合顧客は美容師さんにつきます。指名をされるようになれば一人前だといわれます。内装や設備などの環境も大事ですが、お客様のしてほしいサービスをしっかり提供することが大前提です。
お客様が来店された時のあいさつから始まり、お客様の要望を的確に聞きだし把握します。カット技術でこれに応え、お客様の気持ちになって気持ちよく過ごしていただきます。
お客様の疑問にしっかりとカウンセリングをして最後に笑顔でお見送りするまで常にお客様の立場で考えることです。これらを実践できればお客様に来てよかったまた次回もここにこようと思ってもらえます。
こういうことができる美容師になれば、あるいは美容師を育てれば顧客は集まり、売上が上がり年収も上がります。
オーナー美容師が年収をアップするには③「経費」
美容室で年収を上げるには、売上を上げることは最も大事ですが、売上をつくりだす経費を最小限にとどめることで、粗利を最大化すれば年収を上げることができます。
経費には固定的な経費と従量的な経費とがあります。固定的な経費は美容室を維持するためにお客様が来なくても支払わなければならない経費です。
店舗の賃料、美容師の人件費、設備や什器、ソフト等のリース代、通信費、光熱費、社会保険料、税金、返済金等です。従量的な経費とは、シャンプーや化粧品代等の消耗品代、ドライヤー等消耗器具代、クリーニング代等です。
さらにこれら以外の経費として広告宣伝費、販売促進費、交際費、会議費等があります。美容室を開業しているいる以上かかる固定費は簡単に減らすことはできません。
引っ越しや美容師の賃金を抑えれば今の顧客を失う可能性が高いからです。一方、従量的な経費はきちんと管理することで抑えることができます。
1回の施術に使う量を過去の実績から標準化して月単位で見直すことでこれからの費用を適切に管理することができます。
これ以外のパンフレットやチラシ等の広告宣伝費や割引キャンペーンや景品等の販売促進費は、使った費用と売上や新規顧客の来店数の増加等の効果をしっかり確認しながら使うことで無駄遣いを避けることができます。
交際費、会議費は私用で計上はせず必要最小限とすることです。オーナーが公私の区分をしっかりすれば従業員もそれに倣います。
また、大事なことは、こういった経費の管理は従業員の協力がなければ実現できません。成果が出れば従業員には賃金他で報いることが大事です。
経費について売上を上げるために必要なものにはお金を使うが、売上につながらないものにはお金を使わないことができれば売上の増加以上に利益を上げることができますし、年収も上げることができます。
オーナー美容師が年収をアップするには④「立地」
立地は、美容院の経営に大きな影響を与えます。お客様に来ていただかなければ売上が上がりません。この売上に大きな影響を与えるのが立地です。
立地は美容院のコンセプトや客層、資金計画等によって決まります。立地を考えるとき自分が作りたい美容院のコンセプトに沿って検討し、事業計画として一貫性のあることが大事です。
どんな場合にも大事なことは出店する地域のお客さまのニーズに応えられる店でなくてはならないことです。場所選びの方法は、オーナーさんが理想とするコンセプトにあった場所を選ぶという場合とオーナーさんが出店したい場所に合ったコンセプトの店作りをする場合の2通りがあります。
いずれにしてもお店のコンセプトと開業する場所に一貫性を持たせることが大事です。コンセプトを明確にし、それに合った立地を考える時に大事なのは、選んだ地域にターゲットとする客層の顧客の具体的な人数、競合する店等の情報収集、自身の資金計画などを具体的に検討することです。
まず、顧客は、提供するサービスを適切な価格で購入してくれる住民であり、通勤してくるビジネスマンや通行人です。顧客となってくれそうな潜在顧客がこの地域にどれだけいるか確認することが必要です。
魚がいないところで釣りはできません。2つ目に競合店の情報を集めなくてはなりません。開業しようとする店のコンセプトと同じ店が近くにあれば共倒れになります。
お客様に来ていただくためにはお客様にとって他店とはちがった魅力がなくてはなりません。3つ目は資金計画です。お店を出すためには資金が必要です。
店舗を借りるには、保証金、初回家賃、仲介手数料が必要です。これら費用は、場所によって大きく変わります。都市部の立地は家賃が高いです。
また、設備費や設備工事、内装工事の費用も必要です。資金計画により、賃貸する場所を選びます。資金が厳しければ、居ぬき物件を探したり、自宅で開業したり、面貸でフリーランスとして開業する場合もあります。
美容院にとって立地は売上を左右します。お店のコンセプトと立地を見直すことで安定した売上を上げることができます。
オーナー美容師が活用したい補助金・助成金
オーナー美容師が活用したい補助金と助成金について紹介します。補助金は、主に経済産業省の管轄下にあり集客や設備更新等の事業を活性化させるためのものです。
美容室経営で活用していただきたい補助金は集客や販路拡大を目的とした「小規模事業者持続化補助金」とITツールの導入を支援する「IT補助金」です。
「小規模事業者持続化補助金」は、HPの製作費用、チラシの印刷費用、店舗改装等「地道な販路開拓等の取り組み」と作業動線確保のための店舗改装等の「サービス提供等のプロセス改善」、POSレジの導入等の「IT利活用」が対象です。
補助金額は経費の3分の2、最大50万円までです。一方、「IT補助金」は、生産性向上に寄与するソフトウエアー製品・クラウドサービス・それに付随するオプション・役務等の「ITツール」の導入費用です。
補助金額は2分の1、最大450万円です。一方、助成金は厚生労働省の管轄下にありスタッフを雇った時に活用することができます。美容室の経営の中で活用していただきたい助成金は、以下の通りです。
人材確保のために試用期間を設けて雇用することを支援する「トライアル助成金」では、対象者1人につき月4万円が助成されます。
非正規社員を正社員として雇用することを支援する「キャリアアップ助成金」では、1人年間72万円が助成されます。研修活動を支援する「人材開発助成金」では、Off-JTでの場合1人1時間最大960円が助成されます。
健康つくり制度や雇用管理制度の導入、人事評価や賃金制度の整備の支援をする「人材確保等支援助成金」では、目標達成で最大80万円が助成されます。
補助金、助成金をうまく活用し事業運営委活用してください。申請手続等については社会保険労務士あるいは中小企業診断士等の専門家にご相談されることをお勧めいたします。