いま美容業界に限らず「サブスク」というビジネスモデルが大変多くなっています。
「サブスク」とは「サブスクリプションサービス」のことを言い、定額料金でサービスを受けられることを指しています。
以前よりこの形式のビジネスモデルは存在し、新聞購読がイメージしやすいと思います。
今回は、サブスクの概要と消費者目線・事業者目線のメリットを解説してまいります。
そもそもサブスクとは?
近年では、動画配信サービスなどの定額サービスを始めとした、あらゆる業界で「サブスク」型のサービスが増加しています。
「サブスク」の普及は、消費スタイルの変化によるものです。
これまでサービスを受けたい、商品を利用したいというときは、消費者がそれを「所有」することに対価を支払い、そして利用することが一般的でしたが、「サブスク」では消費者の「利用」することに対価を支払います。
「定額制」「月額制」といったものが「サブスク」サービスです。
U-NEXT、Hulu、Netflixなどは月額料金を支払うことにより、その期間は様々な動画を見放題になるサービスです。
Amazonプライムは、月額料金を支払うことにより、Amazonの配送料が無料になる、音楽や動画を楽しむことができるサービスです。他にも、MicrosoftからOffice365とうサブスクサービスが提供されており、以前は買い切りであったWordやExcelといったOfficeアプリケーションを月額1,000円程度でパッケージされたサービスを使用することができます。
消費者におけるサブスクサービスのメリットとは?
①1回あたりのコスパがいい
一般的に、定額料金を支払えばサービスを利用し放題になる点です。(一部制限がかかるサービスもあるので注意してください)。利用すればするほど、1回あたり1商品あたりの金額が下がっていき、多く利用する方には非常にコストパフォーマンスが高くなります。また、「所有」の対価よりも初期費用が抑えられ、新しいサービスにも挑戦しやすくなります。
②解約しやすい
利用をやめやすいというメリットもあります。「所有」ではなく「利用」するサービスであるため、サービス解約により、料金の支払いは不要となり利用をやめることができます。
「所有」してしまうと、その「モノ」の取り扱いや処分方法のために、利用をやめたあともコストや手間がかかってしまうケースがあります。
③「モノ」にしばられない
「サブスク」では、サービスの「利用」に対価を支払っており、「モノ」に縛られることがなくなります。音楽配信や動画配信でもCDやDVDを購入するではなく、インターネットを利用して、ストリーミングやダウンロードによりサービスを利用するものが一般的であり、「モノ」を取り扱う必要がありません。
「モノ」を扱うケースでも、事業者からの発送~利用~返却までを含めたものが一連のサービスであり、管理の手間が軽減されます。
車のなど大きな「モノ」を利用する「サブスク」では、モノにしばられないメリットは非常に大きいです。
KINTOでは、月額料金で車を利用することができます。車両代金が月額支払いになるだけではなく、維持費やメンテナンスを含めた「サブスク」サービスで、気軽に車を利用できます。
④新たな分野に手を出しやすい
「サブスク」は、「所有」と比べて初期費用が抑えられる点や月額制の安心から、新たなサービスに挑戦しやすくなります。一定期間だけかつ支払い料金総額を把握できるという条件が挑戦を後押ししてくれるかもしれません。
また、利用すればするほど、1回1個あたりのコスパが高くなるため、利用者にとっては、たくさん利用しようというインセンティブが働きます。サービス契約時には興味のなかったコンテンツに触れることで新しい発見があるかもしれません。
例えば、電子書籍や動画配信のサブスクでは、契約期間内は読み放題、見放題になりますので、飲食店の食べ放題のような感覚で「なるべく多くの作品を試してみよう」となりますよね。
事業者におけるサブスクサービスのメリットとは?
このように消費者にとって多くのメリットがある「サブスク」ですが、当然事業者にとってもメリットがあります。
継続した売上が見込める継続利用を前提として消費者が契約しているため、継続した売上を見込めます。
仮に月額3,000円のサービスに2,000人集客することができれば、といったように売上をある程度試算することが可能になります。
なお、この顧客数を維持する取り組みは必要になります。
①新規顧客を取り込みやすい
消費者のメリットが事業者のメリットにもなります。消費者にとって初期費用が抑えられるため、事業者にとっては新規顧客を獲得するチャンスが広がります。車の利用はわかりやすいのではないでしょうか。
自分で車を所有するには、車両代金から大きな費用が掛かってしまいますが、月額で支払いやすい金額設定とすることで、車に興味があるが手を出せなかった顧客層にアプローチすることができるようになります。
ただし、新たに利用を開始しやすいことに加え、解約しやすいという特徴もありますので、契約を継続していただけるような取り組みが必要になります。
②消費者データの収集ができる
継続してサービスを利用していただくことにより、消費者データを収集することができます。好みなどの個人ごとのデータだけでなく、条件ごとにグルーピングした情報も収集でき、それぞれの利用状況ごとに対策を打つことができます。
例えば、動画配信の場合であれば、DVDなどの売り切りでは、売ったあとの行動を全く把握できないのに対し、「サブスク」では自社内のサイトでコンテンツを提供しているため、視聴されているタイトルや頻度など、売り切りよりも多くの情報を収集することができます。
③いろいろなサービスに「サブスク」方式を導入できる
ここまで多く普及している「サブスク」サービスをもとに紹介していますが、さまざまなサービスで「サブスク」方式が広まっています。
音楽や動画だけではなく、家電、ソフトウェア、ゲーム、婚活、コスメ、ブランドバッグ、アクセサリー、洋服、スタイリストなど、さまざまな業界でサブスクが導入されており、美容サロンのサブスクも増加してきています。
美容室でサブスク導入の注意点
サブスクを成功させるためには、契約を継続していただくことが重要です。
継続を維持することにより、売上の安定化につながるだけでなく、消費者データの活用によりサービスの充実化を図ることができます。
そのためには、お客様にメリットを感じていただける価格設定や継続したサービスのレベルアップなどが必要です。
美容室の「サブスク」導入においては、音楽や動画や書籍の配信のようにコンテンツを一方的に提供するものとは異なり、お客様とスタッフが対面してサービスを提供することになりますので、お客様に安心してサービスを利用していただけるような関係の構築が一層大切になるでしょう。
継続して利用いただくことによりサービス満足度を高めてもらうことで継続率を高めていきます。
サブスクには、消費者にとっても事業者にとってもメリットだけではなく、留意事項もあります。
流行に乗って「サブスク」を導入するのではなく、売上を向上させるための事業の計画として検討することがポイントとなるでしょう。