美容室の新しい開業方法、シェアサロンで開業する方法!

美容室の新しい開業方法、シェアサロンで開業する方法!

 

今回は、美容室の新しい開業方法、シェアサロンで開業する方法をまとめました。

 

美容室の新しい開業方法

 

美容師のキャリアパスは、アシスタントを経てスタイリストとしての経験をおおよそ10年経たのち店長やマネージャ等管理職になる人、スタイリストとして働き続ける人、独立開業する人の3つに大きく分かれます。

そして それらの道以外にフリーランス美容師という働き方が最近クローズアップされています。スタリストとして2-3年でフリーランスとして独立するという道も選べます。

2017年11月6日の日経MJの記事ではフリーランスの美容師は全国で8万人です。この数字は美容師全体の約16%となっています。当時に比べインターネット上でのSNS等での情報交換が盛んになり、またネット上での情報検索が当たりまえになりました。

さらに働き方改革で副業が認められるようになったことで、フリーランスとして働く人が当時に比べ増加しています。現在はフリーランスの美容師の人数はもっと大きな数字になっていると思われます。

フリーランスの美容師は、開業資金を貯めたい、副業で空き時間だけの不定期な仕事をしたい、期間限定で仕事がしたい、或いは 場所の制限を受けずに仕事をしたい等様々な目的によりフリーランスととして独立開業しています。そのフリーランスの美容師が仕事場とするのがシェアサロンです。

 

シェアサロンって何?

 

シェアサロンとはなんでしょうか?美容師には大きく3つの就業形態があります。オーナーやサロンと雇用契約を結んでいる社員、業務委託契約社員、フリーランス(個人事業主)の4つです。

シェアサロンは4つ目のフリーランスの美容師が仕事をする場です。美容の施術をするシェアサロンは事前に美容所登録申請の届け出が済んでいなくてはなりません。

つまり、シェアサロンは、美容師の向けのレンタルスペースということができます。近年複数のサービスを美容と共に一括提供するような美容室も出てきいます。

美容系業種のネイリスト、エスティシャン、ネイルアート、整体、アイリストとといった業種もシェアサロンの対象となる場合があります。シェアサロンでは美容ビジネスのために必要な施術ができる個室やスペースを有料で貸し出しています。

また、セット面、シャンプー台、ドライヤー、コテ、アイロン等美容に必要な設備や備品を備え或いはレンタルできるようになっており、基本的に鋏を持っていけばお客に施術を行える場所となっています。

最近は、最新設備やおしゃれな内装の店が増加しています。また、パーマ液や薬剤類は持ち込みが原則ですが、シェアサロンを通じて購入することもできる場合もあるようです。

シェアサロンは立地によって、或いはスペースの提供者によって利用料金は様々です。フリーランスになった美容師の皆さんの求める将来像や目的等により自身が必要とするシェアサロンを選択することができます。

 

主なシェアサロン形態

 

シェアサロンにはいくつかの形態があります。一つ目は、シェアサロンです。フリーランスの美容師のように美容サービスを提供する人のために用意された個室或いは半個室等の施術専用のスペースです。

このシェアサロンには、施術に必要な設備や道具が揃っています。利用は月極或いは時間単位でレンタルできます。突然の予約に対応するには時間貸しを活用するのが良いでしょうし、定常的にお客様からの予約が入るようなら月極でレンタルすることもできます。

二つ目は、面貸しです。面貸しは以前から行われています。美容院の看板を掲げて営業する店が店内の空きスペースをフリーランスとして働く個人美容師に貸し出すケースです。

ミラーレンタルともいわれています。既存のお店の一部を借りますので美容の施術に必要な設備は充実していますし、お店によってそれぞれ異なりますが美容室としての雰囲気を持った場所といえます。

フリーランスとして面貸しを活用しようとした場合には、自分の美容師としての理想や目的にあった雰囲気を持ったお店の一角をサロンとして借りることができれば、本人も気持ちよく仕事ができますし、お店のお客様にも良い印象を与えることができます。

「表1 美容師としての就労条件比較」で、サロンで一般の正社員でない働き方をしている業務委託契約社員とシェアサロン或いは面貸しでフリーランスとして働く場合の一般的な比較をしました、ご参考にして下さい。

 

表1 美容師として就労条件比較

項目 フリーランス 業務委託契約社員
シェアサロン 面貸し
利用料金 売上に対する歩合制

月極や時間制

(売上の30%前後)

売上の40%前後 フリー客50-60% 

指名客 30-50%

価格 自由に設定 サロンで下限を設定 サロンが決定
薬剤費 自己負担 サロンが負担 サロンが負担
集客 すべて自分で行う 自身への指名顧客のみ サロンが行う
帰属 独立開業し個人事業主として働く サロンの一員として働く

 

他のシェアサロンの形態

 

面貸しやシェアサロン以外に新たなレンタルスペースとして2つあります。一つ目はワンルームマンションタイプのレンタルサロンです。

商業利用のレンタルスペースでなく、住居用のワンルームマンションに用意された個室等で美容サービスを提供する人のための施術専用のスペースです。

ここには施術に必要な設備と道具が揃っています。また、美容室に来る顧客に気持ちよく過ごしてもらうために照明やインテリア等でくつろぎの空間が演出されています。

美容室としての広さも十分あり、ゆったりとした空間が用意されています。美容師としてそれなりの対価を払ってもらう場合には、顧客にとって価値のある施術はもちろんのこと、接客やその空間演出も顧客にとって価値があるものである必要があります。

こういったワンルームマンションタイプのレンタルサロンは他の他のシェアサロンと同じく時間単位や月極でレンタルすることができます。

二つ目は所謂レンタルスペースです。カルチャースクールやフィットネスにも使える多目的スペースを活用して美容の施術を行います。

シェアサロンに比べると設備面、雰囲気共に美容専用というわけではないので劣りますが、費用面では安くすることができます。設備や道具等が揃っていない前提に立ち事前に何を持ち込まなければならないか確認する必要があります。

 

シェアサロンを使った資金面でのメリット

 

シェアサロンを使うフリーランスの美容師にとって一番のメリットは開業資金なしで開業できることです。これから開業して独立し店舗を持とうとする美容師さんにとって、資金作りが一番大きなハードルです。

苦労は多いですが店舗を構える資金作りにはもってこいの働き方となります。また、美容室ではアシスタントからスタイリストとなっても店長クラスにならないとそれなりの収入を得ることができません。

若い美容師で自身の技術に自信があってもっと収入を得ることができるはずだと考えている方にとっても、経費を抑えて開業できるフリーランスとしてシェアサロンで顧客に施術を行うことは、リスクはありますがより大きな収入を得ることができる可能性が広がります。

参考までに店舗を取得して開業する場合とシェアサロンを使った場合を比較してみます。前者は物件の取得費用、美容機器代金や什器等の備品代を含めて初期投資は平均1200万円といわれています。

しかし、簡単に用意できる金額ではありません。多くの美容師さんは、政策金融公庫や銀行他から1000万円程度の融資を受けています。融資を受ければ毎月返済が必要になります。

しかし、美容室はコンビニより多いといわれています。競争は厳しく、固定費を賄える売上を上げるために顧客を安定的に確保することが肝心です。

一方、シェアサロンでは、月極又は時間単位での利用料と薬剤費を払えばあとは粗利となります。1時間単位で最小のスペースを借りることもできます。

立地によりますが、利用料は平均1時間1000円から2000円、美容サービス料は平均1時間6000円から7000円ですから十分ペイできる経費となります。店舗の購入或いは賃借した店舗では コストが休業日や空き時間でも経費として発生し続けます。シェアサロンでは予約が入ってからスペースを予約するので無駄な経費が掛かりません。

 

シェアサロンを使った働き方のメリット

 

サロンに勤めることで安定した収入を得ることができますが、一方で働き方の自由度は大きく制約を受けます。フリーランスとなってシェアサロンで働くことで働き方の制約は大きく改善されます。

時間と場所の制約から解放されます。例えば、一般にサロンは、土日は営業日になっていますが土日を休む、副業として空いた時間を活用して美容師として施術をする、ある期間だけ期間限定で美容師として仕事がしたいといったことです。サロンの正社員は長時間勤務になりやすいです。

シェアサロンで自分の都合に合わせて予約が入った時だけ働くことができるので介護、妊娠、育児、病気、といった状況にも対応できるようになります。それ以外にもいくつかメリットがあります。

まず、一人一人の顧客と深くかかわれるようになることです。 お客にどれだけ時間をかけるかが自由になるので信頼関係が気づき易くなります。

また、サロンでは多くの仲間と仕事をしますので人間関係の問題が生ずることがあります。シェアサロンを使う働き方では煩わしい人間関係がなくなります。収入は働いただけとなります。

正社員では比較的長時間勤務で年収が低い職業です。リスクもありますがやりがいも増えます。さらに立地に縛られないので複数のシェアサロンを利用できます。

店舗の立地にこだわらずにお客様の要望に応じて自由に出張サービスができます。固定客さえつかんでいればフリーランスになってシェアサロンを使って開業するのは働き方の自由度を高める一つの方法です。

 

シェアサロンを使った業務面でのデメリット

 

フリーランスの美容師になってシェアサロンで施術するという開業の方法は、デメリットもあります。サロンで雇用契約を結んでいるアシスタントやスタイリストの皆さんやフリーランスでも業務委託形式で働く場合は接客や技術に集中できますが、シェアサロンを利用しているフリーランスの美容師は、接客と技術以外に自身で集客から予約、接客、施術、会計まですべて行う必要があります。

つまり、正社員、業務委託は接客と技術以外はすべてサロンがやってくれますがシェアサロンを使った場合はすべて自分でやる必要があります。

必ずしなくてはならなのが、毎月の経費や売上の記帳や確定申告です。これ以外に日常的に使う薬剤の在庫状況を確認し、納入のリードタイムに合わせて注文、仕入れもしなくてはなりません。特に大事なのは集客や顧客対応です。独立当初の固定客はいずれ次第に減少します。

InstagramやWEBのプログの更新などによって新規の顧客を獲得しなくてはなりません。既存客による口コミ、 美容サロン予約アプリのminimoやrequpo等の集客アプリの活用、 instagram Facebook YouTubeなどの各種ネットツールを使ったブランディングやWEBマーケティングを積極的に進める必要があります。

さらに随時発生する予約への対応や問い合せにも親切丁寧に対応することが求められます。

 

シェアサロンを使った他のデメリット

 

サロンに勤めることとフリーランスとなってシェアサロンを利用する場合と比較すると、業務面以外で他にもいくつかのデメリットがあります。

まず収入面です。前者はサロンと雇用契約を結ぶことになりますから、サロンに顧客が来る来ないにかかわらず契約した時間勤めることで安定した収入を得ることができます。

しかし、後者は顧客とトラブルがあって悪い評判が立てばこれまでの顧客が来なくなり、固定給ではないので収入は大きく下がる可能性があり収入は不安定となります。

次に教育面です。前者は、先輩後輩多くの美容師が働いています。お互いに切磋琢磨して技術や接客を磨いています。また、オーナーや指導より接客や技術の指導を受けたりすることもあるでしょう。

しかし、後者は一人ですから仲間からの刺激を受けたり、指導を受けたりする機会はほとんどなくなります。自身で仲間とのネットワークを作り最新のカットや美容業界の情報を得るために情報収集をしなくてはなりません。

自ら外部の研修に参加することで、顧客のニーズに合わせ施術ができるように常に自身の接客や技術を磨くことも求められます。

最後に生活面です。前者は、勤めているので仕事をしている時間と私的な時間は明確に区分されます。しかし、後者は仕事の時間は、顧客からの予約で決まります。いつからいつまでと明確に時間を区切られていないために生活にメリハリがなくなりなります。サロンとの雇用契約という束縛がなくなるわけですから自身で時間をきちんとコントロールできるようにしなくてはなりません。

 

シェアサロンを使った美容師の年収

 

フリーランスとなって仕事をする場合は、サロンに勤める場合に比べてメリットデメリットがあることはお判りになったかと思います。特に収入については不安定となる可能性があると説明しました。

収入はフリーランスになる美容師個人個人により様々です。増える場合もありますし、減る場合もあります。フリーランスでシェアサロンを使った場合にどのくらいの収入が得られるのか概算例を紹介します。

一般的なサロンでの平均客単価7000円、平均施術人数8人/日、25日稼働として売上140万円を上げている美容師がいるとします。平均施術人数8人は繁盛している店のスタイリストの例です。

この方がフリーランスとなりシェアサロンで施術した場合の収入の見込みはどの程度か試算します。顧客はスタイリストについている場合が多いですから60%の固定客がついてきてくれたとします。

売上は6割となるので140万円*0.6=84万円となります。さらに、ここから経費としてサロン代や薬剤費他を引いて粗利益率70%とすると約54万円/月となり年収で588万円となります。

フリーランスとなりシェアサロンで施術する多くの美容師の収入は、月売上60-80万円、月収40-60万円程度といわれてます。おおよそ例として挙げた計算が成り立つと考えられます。

サロンに勤めるスタイリストの収入は月収で20~30万円。これに指名料、報奨金、役職手当がつき、トップスタイリストは月収50万円以上となります。つまり、例示した場合はほぼトップスタリストと同じ収入が得られるということになります。

 

シェアサロンを使ってみよう

 

美容師の皆さんは、様々な人生の目的をもって美容師を目指されていると思います。これまでご説明したようにそれぞれメリットとデメリットがあります。

フリーランスになってシェアサロンで施術を行う美容師は、収入面でのリスクはありますが、固定客を持っていてSNS等を活用するマーケティングスキルがあればこれまで以上の収入を得る魅力的な方法の一つと考えられます。

特に抵コスト低リスクで独立開業できることから、これから開業を目指して開業資金をためる必要のある美容師の方や、時間や場所の制約なしに施術できる点を生かし、介護、出産、育児、病気等で仕事時間が限られた美容師の方にとって有効な働き方だと考えられます。

集客、経理作業等接客、技術だけでは済まないというデメリットはありますが、すでに固定客のいる集客力のある美容師にとっては魅力的な選択肢です。

今後の美容師の働き方の一つとか考えられます。シェアサロンは美容師が誰でも利用できる美容室です。シェアサロンの料金は、シェアサロン或いはその立地によって様々です。

シェアサロンの一般的な相場は、月極5万円+技術売上25%というところです。美容師の新しい働き方の一つとしてご参考にしていただければと思います。

  • 早川剛(Tsuyoshi Hayakawa)
    早川剛(Tsuyoshi Hayakawa)

    中小企業診断士 東京協会城東支部 千葉労働局事業主支援アドバイザー 得意業務は、助成金の審査業務をメインに葛飾区創業塾、立石図書館ビジネス相談員として創業支援やものつくり補助金・小規模持続化補助金等申請支援活動を実施。 強みを生かし、新たなニーズからビジネスチャンスを探ります!

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