自分のお店を持ちたいという願望を持ったことありませんか?
自分の好きなことを仕事にしたい、自分の特技・得意なことを活かしたい、誰もが一回は夢見ることかと思います。本コラムでは、自分のエステサロンを持つ=「開業」するために必要な準備を紹介していきます。
エステサロンを開業するために必要な手続きとは
エステサロンに限らず、商売を始める時には様々な手続きをする必要があります。開業する際の手続きをしないでいると、店舗を借りる契約ができなかったり、税金を多く払わなければいけなくなったりと損をする可能性があるのです。
開業するために必要な手続きは大きく分けて下記の2つに分かれます。
エステサロンを開業 税務関係
そのままですが税務関係の手続きは税金に関わってきます。ざっくり言いますと「こんな事業を始めますよ~」と税務署などに報告する手続きです。手続き先は開業する地域を所管する、税務署や都道府県税事務所となります。
「青色申告」という言葉を聞いたことはありませんか?青色申告とは商売に関わる所得・税金を定められた方式で記帳して申告する確定申告です。青色申告でない確定申告は、白色申告と呼ばれ、会社員がふるさと納税や医療費控除、住宅ローン控除を受ける時なんかに申告します。青色申告をするには、白色申告よりも複雑な(詳しく)記帳が必要になりますが、その分特別控除が受けられたり、赤字を繰り越せたりと、税金面で多くのメリットがあります。正確な方法で申告してくれた人へのごほうびです。
税務関係の手続きは青色申告をするために必要な手続きとなりますが、どんな手続きになるのかは開業を「個人事業主」でするのか「法人」でするのかで変わってきます。
エステサロンを開業 社会保険関係
社会保険関係の手続きは従業員を雇った際に必要となります。個人事業主で自分1人だけで開業するならしなくてもよい手続きです。
税務関係も社会保険関係も手続きで分からないことや迷うことがあった時は、手続き先に相談しましょう。税務署や年金事務所は税金や保険料をキチンと徴収するためにもしっかりと相談に乗ってくれます。
「個人事業主」「法人」のどちらでエステサロンを開業するのか
「よしっ!エステサロンの開業手続きを始めよう!」と意気込んで税務署を訪問する前に、「個人事業主」で開業するか「法人」で開業するかを決める必要があります。
どちらを選択するかで必要な手続きの種類や書式が変わってくるだけでなく、様々な面で開業後に大きな差が出てくるので慎重に検討する必要があります。
そもそも個人事業主・法人ってなんなの?というところからお話したいと思います。
・個人事業主とは?
個人事業主とは読んで字のごとく、事業を営む個人を指します。なので、所得(利益)にかかる税金も所得税が適応されます。一般的には「自営業」と言われることが多いです。
開業手続きも比較的簡単で、会社員でも学生でも、専業主婦・主夫でも、開業届を出せば誰でもすぐに個人事業主になれます。
個人事業主は主に「屋号」でビジネスをしていきます。屋号は事業名や店舗名にあたるもので、会社名のようなものです。開業届に屋号を書いて提出することで、屋号名義で銀行口座を開設したり、様々な契約をしたりすることが可能となります。
屋号の付け方は自由なのですが、サロンのイメージを大きく左右する顔にあたります。どんなサロンにしたいのかをイメージして、自分の子供に名前を付けるように慎重に検討しましょう。
・法人とは?
法人とは「法的に人格を認められた」ものであり、人ではないけど法律上人のように取り扱われます。なので、人ではないけど住「民」税も支払います。
個人事業主に種類はありませんが、法人にはいろいろな種類があります。代表的な法人は、なんといっても株式会社。
他にも一般社団法人や医療法人、社会福祉法人や学校法人、NPO法人や合同会社、合資会社などなど様々な種類があります。資本金や登記費用が掛かり、設立費用や手続きは煩雑で負担がありますが、税金面や信頼面では個人事業主よりも良いと言われます。
「個人事業主」「法人」のメリットとデメリット
個人事業主と法人について説明してきましたが、名前や届出の種類以外にどんな違いがあるのでしょうか?
この章では、個人事業主・法人のメリットとデメリットを紹介していきます。個人事業主と法人のメリット・デメリットはほとんど表裏一体になっているので、表で紹介します。
表中にある、住民税均等割は赤字でも払わなければいけない税金です。法人の場合、赤人でも7万円払わなければいけないのはなかなか痛いです。
メリット・デメリットからもわかるように、法人は色々と面倒なことがあるけど、その分のメリットがあります。法人を維持するためには面倒な処理をこなすことができる運営能力と事業の安定性が求められることもあり、法人=事業遂行能力がある=信頼性が高いと評価されます。
維持への労力がかかることもあり事業の規模は一般的に、個人事業主<法人というイメージになります。また税金面では利益がある一定以上大きくなると、税率の上昇の仕方の違いにより、法人にした方が税金が少なくなるポイントがあります。
「法人成り」という手続きをすることで、個人事業主から法人に変更することもできるので、最初は小さく個人事業主で始めて、成長してきたら法人成りをするという「スモールスタート」が開業のセオリーと言われています。
しかし、事業によっては最初から法人の方がよい場合もありますので、計画中の事業が個人事業主・法人どちらがメリットがあるのかを検討することをオススメします。
さて、あなたが考えているエステサロンは個人事業主・法人どちらの方が向いているでしょうか?
メリット・デメリットを確認して、どちらで開業した方がよいかを検討しましょう。
「個人事業主」としてエステサロンを開業する場合の手続き
前章で説明してきました個人事業主・法人の特徴を踏まえて、「個人事業主で開業しよう!」と決めた場合、どのような手続きをすればいいかを紹介していきます。法人での開業を考えている方は、次の章まで読み飛ばしてください。
個人事業主でエステサロンを開業する場合の手続きは税務署などへの届出と社会保険関係の届出があります。社会保険関係は人を雇わない場合には、手続き不要です。
個人事業主の開業手続きは比較的楽で、すぐにできます。手続きにかかる労力は少ないので、事業計画などに力を割いてよりよいビジネスになるように準備をしていきましょう。
「法人」としてエステサロンを開業する場合の手続き
ここからは「法人で開業しよう!」と決めた場合の手続きを紹介していきます。個人事業主の開業と比べて手続きの種類や手間が多いですが、頑張って付いてきてください!
法人でエステサロンを開業する場合、定款認証⇒資本金払い込み⇒登記⇒税務署などへの届出と社会保険関係の届出という流れになります。社会保険関係は人を雇わなくても法人は、健保・厚生年金保険の加入が必須となっています。
法人は開業に少なくない労力、時間、金額がかかります。その分社会的信頼性は高くなっています。定款など手続きとは別に必要な書類も多くあり、登記までの手続きでは専門的な知識が必要とされる場面もあります。
開業までのスケジュールを計画通り進めるために手戻りをなくすべく、必要な場面では専門家の力をかりることをオススメします。
エステサロンを開業するために保健所への届出は必要か!?
居酒屋やレストランといった飲食店は保健所から営業許可を受けなければならないのは、イメージできると思います。飲食店だけでなく美容室なども開業する時には、保健所に営業許可を受けなければいけません。
うっかり許可を貰わずに営業してしまうと、無許可営業となり大問題です。では、エステサロンを開業するために、保健所へ届出は必要でしょうか?
結論としては、一部条件はありますが「必要ない」です。
保健所の許可がないと営業してはいけない業種は、衛生管理ができていないと食中毒や感染症を発生・拡散してしまう可能性があったり、資格が必要な業務であったりと一定レベル以上の設備や運営能力を持たなければいけません。
エステサロンも保健所の許可が必要ないとはいえ、清潔感や衛生管理は経営上必須ですが…
先ほど「一部条件はある」と書きましたが、その条件とはどんなものでしょうか。
その条件とは、「許可が必要な業務」がなければOKという条件です。許可が必要な業務の例をいくつか挙げていきますので、メニューとして考えている方は検討が必要です。
- まつげエクステンション:美容師免許が必要となります。美容所としての営業許可が必要です。
- シェービング:理容師か美容師の免許が必要です。ブライダルエステやフェイシャル系のサービスでメニューに入れてないか注意が必要です。
- お茶や軽食の提供:喫茶店営業許可が必要な場合もあります。許可がいるかどうかは、業としておこなっているか(お金をもらって提供するか)が基準となります。
挙げた例の中でも、お茶の提供なんかはよくあるサービスです。「体の中から美しく…」というコンセプトのお店を考えていて、漢方茶やハーブティーを有料で提供すると許可が必要となります。
また、お茶単体で有料でなくても、コースの一部としてうたわれていると有料サービスと判断される可能性もあります。
喫茶店営業許可を取るとなると、基準に沿った厨房設備や内装が必要となるため、手続きの面倒くささだけでなく費用が余計に掛かる可能性が大きいです。
「う~ん。そう言われると不安になってきたな…」と思うかもしれません。しかし、不安なくらいでちょうどいいです。大丈夫だろうで始めてしまうのはとてもリスキーです。サロンでどんなサービスを提供するかを決めたら、保健所に相談するのが無難な対応と言えます。
保健所への届け出が必要な場合、備えなければならない設備や内装の条件があります。なので、サロンの工事をする前に保健所に相談をしましょう。工事後に届出が必要とわかり工事のやり直し…なんてことも最悪ありえます。
エステサロンの開業に事業計画書は必要か!?
さて、これまでエステサロンを開業する際の手続きなどについて書いてきましたが、開業するためには事業計画書は必要なのでしょうか?
これも結論を言いますと、「無くても開業はできるけど、作ったほうが絶対良い!」です。
「開業はできる」と書いたのは個人事業主なら開業届を出せばそれでもう開業できてしまうからです。
では事業計画書とはいったいなんでしょう?
名前から察する通り、これからやろうとしている「事業」をどうやって運用していくか「計画」した書類です。英語で言うとビジネスプランです。
事業計画書を求められる最たる場面は、融資を受ける時です。銀行などの金融機関は事業者にお金を貸して、事業者は借りたお金を元手に事業をおこない、事業で増やしたお金から金融機関へ借りた元手+利息を支払います。
ここで、金融機関が一番気にするのが、融資を受けにきた事業者が潰れずに貸したお金(+利息)を返してくれるかです。要は「この人の事業は大丈夫そうかな?」ということを金融機関は知りたいのです。そこで登場するのが事業計画書です。
事業を分かりやすく具体的に書類に表現した事業計画書を見て金融機関はお金を貸すかを判断します。ちなみに絶対コレじゃなきゃいけないフォーマットはありません。金融機関でフォーマットを用意してある場合もありますが、必要な情報が載っていればとりあえずOKです。
「私はお金借りないから、作らなくて大丈夫だ」と思ってしまいがちですが、融資を受けない人でも、事業計画書は作ることをオススメします。なぜなら、事業計画書はこれからやろうとしている事業の情報を整理し、方向づける指針となるからです。
計画をせずに始める事業はまさに無計画なモノで、行き当たりばったり経営になってしまいます。開業という大きな決断を当たるも八卦当たらぬも八卦で運任せにしてしまうのはとても危険です。
ぜひ頭で思い描いている計画を「計画書」という紙面に落とし込んでみてください。その計画がビジネスとして成り立つのか、生き残っていけるのかを判断する重要な材料となります。
少なくとも下記の観点は、計画書を作る際にぜひ入れてほしいと思います。
- 理念(想い):なぜエステサロンを開業するのか?
- ビジョン:どんなお店にしたいか?
- ターゲット:どんな人に向けてサービスを提供するのか?
- 商品:どんなサービスを提供するか?
- 収支:どれくらい売上があれば利益がでるのか?
とは言え、真っ白な紙から計画書を書いていくのはとても大変です。開業時の融資でお世話になることの多い日本政策金融公庫さんのホームページでは、事業計画書のフォーマットと共に業種別の記入例がアップされていて計画書作成の参考になります。
他にもネットで検索すると様々な形の事業計画書がでてきます。自分の事業にあった事業計画書を参考に「自分の事業とは、コレだ!」と説明できる計画書にしましょう。
日本政策金融公庫HP各種書式ダウンロード
(https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html)
エステサロンの開業に使える補助金・助成金とは
色々とやりたいことはあるけど、お金が心もとない…そんな時には融資だけでなく、補助金・助成金にも目を向けてください。補助金も助成金も国などからお金を支給してくれる制度で、返済しなくてもよいお金です。利用できるなら積極的に活用していきたい制度になっています。
補助金とは、主に経済産業省が管轄しており、生産性向上や販売促進などそれぞれのテーマに沿った取り組みを支援するために、一部費用をサポートしてくれる制度です。
補助率と呼ばれる割合が存在し、すべての費用の○○%(上限XX万円まで)の範囲で補助金を支給するパターンがほとんどです。申請後には審査があり、評価点の高い順に採択されていきます。
助成金とは、主に厚生労働省が管轄しており、国が推進している雇用や健康増進に関する取り組みを支援するために、一部費用などをサポートしてくれる制度です。
雇用の維持・拡大やキャリアアップなど人に関わるものが対象になります。補助金との違いは審査がほぼないことです。要件を満たしていればほぼ確実に受給できるので、事業の計算に入れやすい仕組みとなっています。
雇用関係助成金の申請支援は社会保険労務士(社労士)が専門なので、気になる方はお近くの社労士さんへの相談をオススメします。自治体の専門家相談窓口に社労士さんがいらっしゃることも多いので、役所のホームページを確認してみましょう。
エステサロンの開業に使いやすい補助金・助成金をいくつかご紹介します。
■小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、従業員数などが少ない小規模事業者が対象の補助金で、販路開拓と新商品開発などの生産性向上の2つにかかる経費を補助する制度です。
窓口は商工会・商工会議所になっています。補助率は補助対象となる経費の2/3。補助額は上限50万円以内(複数の事業者が連携して取り組む共同事業の場合は100~500万円)となっています。
新型コロナウイルス対策の特別型は通常よりも補助率・補助額が緩和されています。
日本商工会議所小規模事業者持続化補助金メニュー(https://jizokukahojokin.info/)
■IT導入補助金
IT補助金とは、中小企業・小規模事業者が事務作業の効率化やマーケティングなどにITツールを導入する際の費用を一部補助する制度です。
補助率は費用の1/2。補助額は450万円以内となっています。よろず支援機関や商工会・商工会議所などの支援機関が申請書作成を支援してくれます。
IT導入補助金(https://www.it-hojo.jp/)
■若手・女性リーダー応援プログラム助成金(東京都)
東京都が若手や女性の創業を応援する制度です。年齢か性別、商店街に店舗を出店するなど要件がありますが、該当する場合は検討したい制度です。
助成対象となるのは
- 事業所整備費(店舗新装・改装工事、設備・備品購入、宣伝・広告費)400万円。
- 実務研修受講費6万円
- 店舗賃借料1年目:月15万円、2年目:月12万円
助成額は730万円以内。助成率は3/4(実務研修受講費は2/3)となっています。
若手・女性リーダー応援プログラム助成事業(https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/wakatejosei.html#naiyo)
■人材確保等支援助成金
人材確保等支援助成金は、人材の確保・定着を目的として魅力ある職場づくりのために労働環境の向上等を図る事業主に対して助成する制度です。
人事評価制度や賃金アップ、教育訓練や健康づくり制度などの導入など、生産性向上や離職率の低下を図る様々な取り組みに対して利用できます。
- (a) 雇用管理制度助成コース
- (b) 人事評価改善等助成コース
- (c) 設備改善等支援コース
- (d) 働き方改革支援コース
- (e) 介護福祉機器助成コース
- (f) 介護・保育労働者雇用管理制度助成コース
- (g) 中小企業団体助成コース
7つのコースがあり、それぞれ助成対象・助成額など条件が異なります。
厚労省 人材確保等支援助成金(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07843.html)
■人材開発支援助成金
雇用する労働者のキャリア形成を効果的に促進するため、職務に関連した専門的な知識及び技能を修得させるための職業訓練等に対して助成する制度です。エステサロンで対象となるコースは、下記のコースとなっています。
- 特定訓練コース
- 一般訓練コース
- 教育訓練休暇付与コース
- 特別育成訓練コース
- 障害者職業能力開発コース
それぞれ助成対象・助成額など条件が異なります。
厚労省 人材開発支援助成金
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/
koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html)
■産業保健関係助成金
事業者が使用する労働者の健康管理、健康教育その他の健康に関する自主的な産業保健活動を支援することにより、労働者の健康確保を図ることを目的とした制度です。
健康診断など従業員を雇う上で必須な健康管理にかかる費用を助成してくれます。
- 治療と仕事の両立支援助成金
- ストレスチェック助成金
- 職場環境改善計画助成金
- 心の健康づくり計画助成金
- 小規模事業場産業医活動助成金
- 副業・兼業労働者の健康診断助成金
6つのコースになっています。助成する単位も異なるため、それぞれに助成額・助成対象が異なります。
労働者健康安全機構
(https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1251/Default.aspx)
補助金・助成金共通の特徴として気をつけておかないといけない点があります。
補助金・助成金共通の注意点①入金は後払い
補助金は使ったお金に対して補助してくれるので、使えるだけのお金があることが前提です。入金までの期間を考慮しないでお金を使ってしまうと資金繰りが厳しくなりますので注意が必要となります。
補助金・助成金共通の注意点②書類作成に時間がかかる
補助金も助成金もお金をくれる制度であるため、申請書類の作成には時間と手間がかかります。補助金の場合は評価されるため、適当に書類を作成しても採択される可能性が下がってしまいます。
申請のために時間を費やしてしまい、本業がおろそかになってしまっては本末転倒です。書類を作成する時間や労力に余裕がない場合や初めてでノウハウがない場合、作成を支援してくれる専門家に依頼するのもオススメです。
調査や計画立案から書類作成の指導など、申請に必要な仕事をサポートしてくれます。中には高額な手数料を要求する悪徳な業者もいるので、信頼のできる専門家に依頼するのが肝心です。
エステサロンの開業に役立つ資格
美容師や鍼灸師は国家資格で施術するためには免許が必要ですが、エステティシャンはサービスを提供するにあたり資格や免許は必須ではありません。
しかし、資格が必要ではないといえ、ファンを獲得するようなサービスを提供しないと事業継続は望めません。やはり、「プロ」としての知識や技術は必要であると言えます。
免許制ではない分野では、資格が「知識や技術の証明」として機能します。お客様の立場からしても、エステティシャンが資格保持者だとサービスレベルが担保され、安心してサービスを受けることができます。つまりは信頼性の向上へとつながっていきます。
エステティシャンになるための公的な資格は現在ないので、民間の認定資格の取得を目指して、知識や技術を学んでいくこととなります。その中でも、エステティシャン開業に役立つ資格をいくつか紹介していきます。
開業に役立つ資格①日本エステティック協会(AJESTHE)「認定エステティシャン」
日本エステティック協会は、健全なエステティックの普及・発展を目的とした団体で、国内で一番大きいエステティシャンの団体です。基本コースの「AJESTHE認定エステティシャン」のほか、上級者向けとなる「AJESTHE認定上級エステティシャン」、フェイシャルやボディに特化した資格など様々なコースがあります。
日本エステティック協会(https://ajesthe.jp/)
開業に役立つ資格②日本エステティック業協会(AEA)「AEA認定エステティシャン」
日本エステティック業協会は、1987年に設立された30年以上の歴史を持つ団体です。基礎資格である「AEA認定エステティシャン」、上級資格として、「AEA上級認定エステティシャン」「AEA認定インターナショナルエステティシャン」があります。
日本エステティック業協会(https://www.esthesite.jp/)
開業に役立つ資格③日本スパ・ウェルネス協会「認定エスティシャン」
日本スパ・ウエルネス協会は、エステティック業界の健全な発展と、セラピストの社会的地位の向上を目的として設立された団体です。
2004年設立と比較的新しい団体です。基礎資格となる「認定エスティシャン」、上級資格の「ビューティセラピスト」、サロンでのサービスレベル向上を目的とした「サービスマナー検定」やメイクアップのアドバイスの専門家「ビューティーアドバイザー」など様々な種類の資格があります。
日本スパ・ウェルネス協会(https://www.spa-wellness-japan.or.jp/)
これらの資格を得るためには、スクールに通ったり実務経験が必要であったりと、すぐにとれるようなものではありません。
しかし、その分資格を取得した時の信頼性につながっています。実務経験を積み資格を取るまでの過程で得た技術や知識はサロンを経営していく中で必ず役立ち、身を助ける武器となります。
開業を考える上で資格取得を検討する価値は充分あります。
エステサロンの開業後の集客方法
無事開業できたあとでも、やることはいっぱいです。なかでも、いかに集客できるかが事業を継続していく上で肝心です。集客方法は大きく分けて、「オンライン」「オフライン」の2つに分類されます。
みなさんはエステを受けようとしたとき、どのようにサロンを探しますか?今はネットで検索する人が多いと思いますが、友人からの紹介・口コミなんかもありますよね。
闇雲にプロモーションしてもお金がかかるばかりであまり効果がでません。どのような集客方法が効果的なのか、開業したサロンに合っているのか検討してからの実行をオススメします。
エステサロン集客方法①オンラインの集客方法
総務省の調査で2018年にはスマホ保有率が8割と生活とインターネットはより身近で欠かせなくなっています。オンラインでの集客は物理的な距離や時間に左右されず多くのお客様候補にアプローチできます。
代表的なものに、下記のようなモノがあります。
①自社ホームページ
見た目や内容の自由度が一番高く、サロンのブランドイメージが伝えやすくなります。ホームページを持っていることで初めてのお客様にも安心感を与えます。
サロンに関する情報量は他の方法に比べ一番多く、予約機能なども付けることができます。一方、自力で効果的なホームページ作成が難しく、ホームページに訪れてもらうために検索上位に来るようにSEO対策も必要となります。
高い効果を発揮するためにも、ホームページ作成・運営を代行する業者へ依頼するのが一般的となっています。
②プラットフォームサイト
美容室・サロンだとHotPepper Beauty、レストランだと食べログなどが代表的なサイトとなります。サロン探しで最初にアクセスする可能性が高く、情報がまとめられており予約や決済代行機能もあり利用者にとってメリットがあるため、プラットフォームサイト内で検索する人も多いです。
サロン目線からすると、他のサロンとの差別化が難しかったりして価格で比較されがちであったり、掲載に費用がかかるなどデメリットもあります。
③メルマガ
メールアドレスを登録してくれたお客様に対し一斉にメールを配信する方法で「メールマガジン」の略です。
無料で使うこともでき、情報提供やメルマガ限定クーポンなど内容に工夫を凝らすことで既読率が上昇し、お客様と定期的な接点を確保できるメリットがあります。
④SNS
いまやプロモーションでは必須のツールとなっているのがSNSです。
Facebook、Twitter、Instagramなどサロン探しにネット検索でなく、SNSで検索する層も存在します。ユーザーの属性が分かるためサロンのSNSを開設しうまく運用していくことで、ターゲット層にアプローチができます。
特に、SNS広告を利用すれば、年齢、既婚・未婚、居住地などターゲットを絞って広告を配信できます。これは他のツールではやりたくてもできない機能となっています。
また、Instagramは女性ユーザーが多い、Twitterは若年層が多いなどサイトによっても特徴があるので、ターゲットに合ったサイトを利用することをオススメします。
エステサロン集客方法②オフラインの集客方法
オフラインとは、オンラインの逆でインターネットを使用しない方法です。アプローチできる範囲はオフラインよりも狭いですが、商圏や店舗前にいる人を店舗に誘導する効果があります。
物質的なモノを介すため手に取ってもらえば、オフラインの方法よりもじっくり見てもらえる傾向にあります。
代表的なものに下記のような方法があります。
①チラシ
オフライン手法の代表的な方法です。チラシでも、新聞の折込広告やポスティング、チラシ配りなど方法はいくつかあります。
配る以外でも店頭に置く、会計時に渡すなどの方法もあります。特に店舗周辺でのチラシ配りは、商圏内(店舗が行動範囲)にある人に直接アプローチができ効果的でありつつ、他の方法に比べてローコストで実施できます。
チラシ配りのポイントは、一度にいっぱい配布するのでなく、多くなくてもいいから、何度も同じ場所で配布すると、通行人の記憶に残りやすくお店が認知されやすくなります。
②看板
看板というとお店に必要なもので、集客方法と言ってもピンとこないかもしませんが、とても大事な集客手法です。看板にも種類があり、店名を掲げただけのものもあれば、店頭に出す立て看板やポスター看板などがあります。注意を引くような色や形、興味関心を向けるキャッチフレーズなど記載した看板を設置することで、店舗に入ってみようという動機につなげられます。
逆にイマイチな看板だとまったく気づかれなかったり、入店が不安になってしまったりする可能性もあります。看板は最後の最後でお客様の背中を押すこともあれば、遠ざけてしまうこともあるのです。様々なお店の看板をみて回りデキのいい看板の特徴を把握し、お店にあった看板を作成が求められます。
③ポイントカード
ポイントカードは今までの方法とは別に、一度来てもらったお客様に対してアプローチするツールです。一般的に新規のお客様を獲得するよりも、既存のお客様に再度来店してもらう方がコストが低く効率的です。
ポイントがたまることでお客様にメリットがある仕組みにすることで、再来店の動機になりお客様を囲い込む効果があります。リピーターの獲得・維持はサロンの継続のために重要なファクターとなります。
④紹介状
紹介状は口コミを誘発するためのツールとして役立ちます。お客様のサロンへのイメージが良くても、普段の会話のなかで友人へ勧めるような話にはなかなかなりません。
そこに紹介状があれば、「そういえば、こんなモノがあるから行ってみない?」と進めるキッカケとなります。口コミはサロンのような体験価値が重要なビジネスでは、かなり影響が大きいモノです。
さらに知らない人の口コミよりも顔見知りの口コミは信頼性が高く感じる傾向にあるため、紹介状は口コミからの新規のお客様獲得に役立つ方法となっています。
お客様の獲得はまさに死活問題です。より効果的にサロンのターゲットにアプローチできる方法を選択していくことが必要となります。