現役保険代理店が教える積立年金・積立NISA

現役保険代理店が教える積立年金・積立NISA

 

自身にとって必要な金額を計算してみましょう。いつまでにどのくらい貯めていたいのか?まずはゴールを決めて初めて、自分が積まなくてはならない額を逆算することができます。

 

どうして資産形成が必要なのか?

 

例として現在40歳の方が必要となる65歳以降の定年退職後の生活費を想像してみましょう。

一般的に、夫婦2人の豊かな老後生活のための必要額は、月額で35.8万円と言われています。65歳からの平均余命は男性で19年、女性で26年です。

仮に85歳として、35.8万円/月 x 12ヶ月 x 20年で8,592万円。ここからまずは準備済みのお金として公的年金を引くことができます。

自営業であれば年金の基礎部分である国民年金として6,5万円/月 x 12ヶ月 x20年で1560万円。
差額として7,032万円が必要額。

差額(不足部分)は自助努力として自身で工面しなければなりません。
自助努力として財産を引くことができます。

仮に現預金1500万円があれば、差額5,532万円を25年間で築く必要があります。
5,532万円 ÷ 25年 ÷ 12ヶ月 = 約18.4万円が毎月の必要貯蓄額となります。

仮に18.4万円を銀行の普通預金で貯めた場合、2021年現在での一般的な普通預金の金利は0.001%ですから、複利計算でも25年後の利息額は5,550円。全額自分で貯めることになりますが、現実的に可能でしょうか。

算出した必要額を達成するためには、なんらかの工夫を凝らす方法を考えていきましょう。

 

知っておきたい資産形成方法とは?

 

まず最初に、資産形成の定義を決めておきたいと思います。資産形成とは、自分が所持している資産(お金)・貯蓄を投資に回す(運用する)ことによって、資産を増やしていく事です。

しかし一言で資産運用といっても、金融庁許認可の金融商品は無数に存在しますので、「結局どれを選べばいいか分からない」と言って行動に移せない方がいらっしゃるのも事実です。

そのためにはまず自分自身のゴール「いつまでに、いくらぐらい欲しいのか。何のために資産形成をするのか」という自分自身のゴールを設定すると、自分に合った金融商品を選択することができます。

また、運用益だけではなく、節税効果のある金融商品を選択肢に入れるとよいでしょう。トータルとして、より多くの資産形成効果を自分にもたらすことができます。

国は「老後2000万円問題」として予想される老後の生活資金の不足に対して、自分自身の資産形成に目をむけて国民の目を向けさせるために、様々な税金の優遇措置を持った仕組みを打ち出しています。

運用益に対する所得税が免除になるものや掛け金が所得控除されるものなど、様々な効果を持っています。
金融商品ごとのメリットデメリットを理解して、トータルとして自分のニーズに一番合うものを選択しましょう。

 

資産形成はいつからやる?

 

資産形成の必要性は理解できたものの、始める時期について迷われている方も多いのではないでしょうか。
現在の市況、またこれからの展望を鑑みると、個人的には「早くから始めるべき」と思います。

一昔前の、例えばバブル期のように銀行普通預金の金利が高かったころであれば、銀行口座にコツコツと貯蓄をしていても問題なかったかもしれません。

しかし現状(0.001%)では、毎月3万円を30年貯金したとしても、30年後の利息は1,299円です。それを踏まえたうえで、これからの日本はどのような未来へと進んでいくでしょうか。これからの日本はインフレに誘導する政策を取っていくとされています。

改めて見渡してみると、生活物資全般的に物価は上がっていると実感できると思います。
20年前と比較しても、パン・肉などの食料品は5~10%高くなりました。

他にも郵便はがきや新聞代など各種生活物資も含めてこれから着実に上がっていく事は確実視されています。同じ金額で購入できる物量が減る、つまり資産価値が目減りしてしまうという事になります。

言い換えると、インフレに対応するために、自分の資産も育てて行かなくてはならない。ということです。
また、お金を育てるためにはどうしても「時間」が必要となります。

ギャンブル的な投機で増えた減ったではなく、投資の抱えるリスクを、投資期間を長くを取ってあげることによって低減させてあげる必要もあります。

「時は金なり」という言葉が示す通り、少額でも出来る範囲で早くからコツコツと始める事が、将来に大きなメリットとなって還ってくるでしょう。

 

資産形成方法①「NISA」

 

NISAとは、個人投資家のための税制優遇制度として、2014年1月からスタートしました。
毎年120万円の非課税の投資枠が設定されており、株式または投資信託等からの配当金等が5年間の間、非課税となる制度です。

また非課税期間が終了したとしても、翌年度の非課税投資枠を利用して、非課税期間を延長することもできます(ロールオーバーといいます)。

NISAで取引対象となっている金融商品は、株式投資信託・国内株・国外株・ETF・REIT…等から選択可能です。

リスクを取って値上がり益を狙うのであれば株式、低リスクでコツコツと運用したいのであれば投資積立…など、目的に合った商品選択が可能なのも魅力です。

開始する前に、運用条件について確認しておきましょう。

  • 口座を開設する年の1月1日時点で、日本在住で20歳以上の方
  • 一人1口座のみ
  • 非課税投資枠は最大で600万円まで
  • 投資可能期間は2014年から2023年まで
  • 金融機関によって取り扱い金融商品が違う

非課税枠を上手に使って、ご自身の資産形成のひとつとして有効に活用することをお勧め致します。

 

資産形成方法①「積立NISA」

 

つみたてNISAとは、投資初心者・未経験者が長期・継続的にわたって行う資産形成をサポートしてくれる非課税制度として、2018年1月に開始されました。

実はもともとイギリスに個人用貯蓄口座『ISA』という制度があり、イギリス国民の成人人口の約半数がISA口座を保有しており、資産形成の手段として広く活用されています。その文化を日本にも…ということですね。
言わば『ISA』の日本輸入版のようなもの、ということです。

さて利用者の皆様がまず意識するNISA最大のメリットは、「運用益が非課税で受け取れる」という事です。実際には、年間40万円の投資枠に対して発生した収益に対して最長で20年の間、非課税となります。

つみたてNISAを利用するにあたっては、専用の口座(つみたてNISA口座)を、金融機関(銀行・証券会社など)で開設する必要が有ります。

ちなみに定期・継続的とされる購入の頻度は「毎日」「毎週」「毎月」「年2回のボーナスのみ」など、金融機関によって異なってきますので、事前に確認することが必要です。

※『開設しようとする年度の1月1日に日本に居住している満20歳以上の方』であれば利用が可能です。
※0~19歳の方は、『ジュニアNISA口座』の利用が可能です。

つみたてNISAの対象となる商品の運用は大きく分けて2種類となります。
「インデックス型投資信託」…指数(インデックス)と同様の値動きを目指す運用手法
「アクティブ型投資信託」…指数を上回る運用を目指す運用手法

いずれも『一定の条件を満たして金融庁に届け出が出された株式投資信託・ETF(上場投資信託)』に限定されています。

なお、つみたてNISAとは別に一般NISAと混同している方も(まれに)いらっしゃいます。つみたてNISAと一般NISAは併用が出来ませんので、どちらか1つを選択する必要が有ることはご留意ください。

つみたてNISAを最大限活用するために、制度の要点(メリット・デメリット)を理解してから始めると良いでしょう。

 

資産形成方法①「積立iDeCo」

 

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、毎月一定額を積み立て、それを掛け金として運用させ、その運用益と掛け金に基づいた年金を受け取る事が出来る制度で、2017年からiDeCoという名称でスタートしました(もともと個人型確定拠出年金は存在はしていました)。

会社員に限らず、公務員、学生、自営業、パートタイマーから主婦に至るまで日本国民の全員が加入可能となっています。

60歳以上となった以降に年金として受け取れることができますが受け取り方も3種類選択可能です。
一定期間の分割受取、一括受取、一部分割+一部一括、…とありますが、各個人の退職金の有無などを考慮して、税負担が増えないように工夫する必要があります。

メリットとしては、まずは掛け金が「全額」所得控除される点です。課税所得を下げることによって、目に見える形で節税効果を実感できるかと思います。

また、運用時に、利益に税金がかからない形となっています。
また受取時に一括受取を選択することによって、退職金受取という扱いになりますので、退職所得控除対象となります。お勤め先の退職金の額にもよりますが、一部一括受取も選択できますので、工夫次第では税金を低く抑えることも可能です。

 

これは注意したい資産形成の失敗例

 

積立投資は長く時間をかけてお金を育てていくものです。相場の変動に一喜一憂し、例えば購入資産の価格が大きく下落して含み損を抱えてしまった場合にすぐにやめてしまう方がいらっしゃいます。

相場は基本的に変動するものです。無理ない金額で長期間継続することによって、投資のリスクを軽減することを目的としています。

また、相場の変動につられて、購入する量を増減させてしまう事にも注意が必要です。
相場の動向を予想する事は百戦錬磨の投資家でも難しい作業です。

積立で投資をするメリットは、一定額で購入し続けることによって中長期的に利益を確保することを目的としています。

積み立て始めた当初に決めた目的を忘れずに、続けていく事が大切です。
また、投資対象も分散させることも有効な手立てです。

毎月一定額を一つだけの銘柄に投資する手法ですと、得られるメリットは時間分散のみとなります。例えば株式と債券は反対の動きをする性質があります。2つに振り分けてあげることによって、投資のバランスを図ることも有効な手段です。

  • 伊藤弘幸(Hiroyiki Ito)
    伊藤弘幸(Hiroyiki Ito)

    2級FP技能士。生命保険・損害保険募集代理人。 個人・法人保険について最適な設計の提供とご契約の保全を行っております。 また、資産形成についてご自身で正しく判断をしていただけるように、金融知識についての情報提供をさせて頂いております。趣味はゴルフ、ベストスコアは65。

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